陽炎(48)
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平成15年が明けて五回目のセンター試験を経験することになった。今回は教室の担当で、初めて受験生の前で注意事項の読み上げを行う役目になった。過去二回は問題やマークシートの配布と解答用紙の回収だが、声を出す役目では早すぎても遅すぎてもいけないので気を使った。
初めての観光産業論は私鉄の経営多角化の一環としてのレジャー戦略を出題した。小テストでは航空の規制緩和・船会社のクルーズ化を出題していた。クルーズ化も航空の歴史とかかわりが深く、旅客の航空シフトへの対応という話である。とにかく交通の側面が強かったが、次の年度へのシラバスは旅行業界に必要な資格取得にも役立つように旅行業の話や観光地にも触れることとした。もっとも資格取得ならば専門学校の役割であり、大学教育としてはあくまで経営・経済の観点を主眼にしたかった。
専門ゼミの選択では215人の二年生のうち、希望者が30人いた。規模が大きくなると細かな指導が行き届くのか不安があり、公務員も考えている学生には「まちづくり」が専門の先生を勧めた。こちも交通とは密接な関係があり、その先生もシンクタンク出身で旅客輸送に関する調査の経験があった。
中高生向けの出前授業でも物流だけでなく、観光バージョンを入れた。航空輸送に関してはJ航空がD航空を吸収する形となったが、それはアメリカのP社と同じ運命をたどるのではないかという指摘があった。国際中心のP社は国内中心のN航空を吸収したものの、労働組合との関係で賃金水準をP社の高い水準に合わせざるを得ず、経営破たんに進んでしまった。D航空の賃金水準もJに合わせるとなると同じ懸念があった。さらにコストアップの要因は多種多様な機材である。
アメリカではSW航空が新規参入組として急成長を遂げたが、その要因は機材をボーイングの737に統一したことであった。J航空は路線に応じて747、777、767、737とボーイングを持っていた。このうち737は国内ネットワーク拡大のために入れたものである。一方777はD航空も持っているが、767と737はエアバスやダグラスなど同じ規模の機体を持っていた。とにかくやるべきは機材を統一して乗務員訓練や整備のコストを抑えることである。これができなければスケールメリットを享受することは不可能だった。
日本国内の新しい航空会社も三社目が誕生した。羽田・福岡のS航空、羽田・札幌のH航空に続き、仙台を拠点にしたF航空である。社長は学会でコメンテーターをしてもらった人なのに驚いた。この人は夢を追う人で、S航空が立ち上がると次をということがわかった。F航空は仙台とまず大阪を結んだが、乗る用事はなかった。
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