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2019年1月18日 (金)

陽炎(47)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 交通学会の会場は都心から少し離れたS鉄道の沿線である。駅からさらにバスに乗るという点でアクセスが大変かなと思った。整備新幹線と鉄道貨物の問題は第三セクター化されたルートが「複線電化」から「単線非電化」にしてインフラのメンテナンスコストを下げようとする動きへの懸念がまず挙げられた。そして青函トンネルについて、私は旅客列車と貨物列車の速度差が新幹線化によって広がる懸念を挙げたが、発表者はレールの幅の違い、在来線と新幹線の電圧の違い、列車すれ違い時の風圧による荷崩れの恐れを加えていたので高く評価した。

 交通学会の報告の中に今後の研究方向の参考になりそうなものがあった。「通信ODと移動の相関関係」というもので、固定電話回線の地域間通信と交通量を分析したものだった。発表者はJ航空から大学に転じた若手研究者である。携帯電話によってデータを集めにくくなる問題はあるものの、通信があって交通が発生するというのは通信販売の人流版だなと思い、ふと観光における交通につながるのではと直感した。

 懇親会では紀要に発表した「テーマパークと交通の相関」については交通学会の関西部会で取り上げてみてはということを関西の先生から言われた。私鉄経営の中でのアミューズメントから私鉄以外の経営主体がどのようにアクセスを確保するのかというのは関心を呼びそうなテーマである。交通学会も少しずつ観光シフトを進めようとしていた。

 二日目には深井も会場に来た。とりあえず学内の食堂でランチをしながら大阪港の話である。神戸の発着だったコンテナを取り込んだものの、それは国際的にみれば釜山や上海からの枝という航路である。コンテナ船の大型化に日本の港は送れつつあり、コンテナ取扱量はシンガポールや香港が世界のトップクラス、日本は横浜や神戸が代表なのだが、世界的にははるか下という状態になっていた。各地に整備される港湾からは釜山に服せ巣という状況で、西日本では博多・北九州・下関いずれも似通っていた。

 深井は大阪港の他に北九州空港も担当することになった。西日本の航空貨物需要をどこまで取り込むかという話であるが、福岡・佐賀・大分・山口が限界だろうというのは彼も同じ認識である。S社が航空貨物会社を設立しようとしているニュースが貨物関係の専門誌に出て、ボーイング767の貨物専用機を使うということまでリリースされていた。N社はどうもそのようなアグレッシブなことはしないようである。S社は東京・大阪の鉄道貨物でも専用のコンテナ列車を共同で走らせることにした。それは両端に機関車をつけた日本では始めてのタイプである。

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