陽炎(46)
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
大阪港の調査はリーダーが主任研究員で、深井がサブリーダー、それを物流技術部の新人が手伝うというものである。この調査では淀川をハシケでさかのぼることも検討するというものだが、鉄道や道路の端桁の高ささからみても無理があると直感した。とはいえ、阪神大震災をきっかけに河川交通の見直しが始まっており、東京では隅田川や荒川がその候補となっていた。
最初のワーキングは六月の末に行われた。交通学会の年報に掲載された「チャイナランドブリッジ」を深井も読んでいた。彼も秋にはトラックと環境問題をテーマに物流学会で報告するプロポーざるを提出していた。ワーキングのあと二人でカフェに入って彼のやっている非常勤の話も聞いたが、学生の関心は物流よりも観光のほうが高く、どうも二刀流で行ったほうがいいという結論になった。
博士論文を意識してネット動脈物流というタイトルを考えたが、まずは前段階でネット通販と宅配便業界というところから切り込もうと思った。通販から日常の買い物もネット注文そして宅配というのが博士論文の構想である。そこでは宅配便業界の労働問題煮まで言及しようと思った。それは労働法の知識も動員するまさに「学際」の領域である。
家での子育ては自分と妻の両親の手助けも受けた。長男の保育所の送り迎え、そして娘もどちらかの両親に見てもらったりしている状況だった。今は両親も元気だが、遠からず介護という問題も出てくるのかなと思った。とにかく妻に買い物の負担まで背負わせるのはとてつもなく心苦しかった。
交通学会のほうで東北新幹線八戸延伸に伴う東北本線の第三セクター化と貨物輸送への影響についてのコメンテーターを頼まれた。発表者は東北大学の院生である。予稿を見ると北海道への延長での青函トンネル問題にも触れているので、それは自分の指摘とも合致していると評価することにした。物流・交通ともに関東で行われるため、連続しての出張である。
交通学会の際はマイルを使っての上京になった。宿は両国の国技館に近いところにしてとりあえず小岩の様子も見に行った。総武線の電車は国鉄時代の車両が一層されてステンレスに黄色のラインを入れた新型に切り替えられていた。快速線でもマリンブルーとクリームの旧式は姿を消してステンレスにマリンブルーとクリームのラインの新車だけという状態である。
| 固定リンク
コメント