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2019年1月12日 (土)

陽炎(35)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 物流学会では辛口のコメントとなってしまったが、指導教員が貨物専用の車両は考えないということで納めることになった。問題は新幹線の車両に宅配便スペースを設けることであるが、車両の仕様統一にこだわる東海は絶対認めないだろうと思った。300キロ走行できる「のぞみ」の車両は両端の形状から座席数が異なり、東海道区間から締め出したいというのが東海の本音のようだった。

 物流研究者で共同してテキストを執筆する話は学会以降に加速した。編集の中心は研究所の先輩でR経済大学の教授、私は鉄道貨物・航空貨物・海運を担当することとなった。自動車は神奈川にある大学の先生でこちらも研究所の先輩である。技術的なものや情報システムは研究所に残っている人が書くこととなった。

 物流学会は土日で、大阪には月曜の午後に戻った。午前中に研究所を半年ぶりに尋ねて季刊誌を二部購入し、定期購読を申し込んだ。深井は都内の私立大学で非常勤を始め、研究所では国際の専門家として歩みだし、峰岸はトラックを中心にしたテーマで飛び回っていた。

 S航空の新規参入では運送業のS社が貨物スペースを買い取るというニュースがあった。かつて宅配便のY社が国内航空貨物輸送に参入しようとしたが、結局J航空の手を借り、それも集荷が不振で立ち消えとなった。J航空の持つ貨物専用の747では供給力過剰なのだが、767の貨物専用では可能性が出てきた。A空輸が東アジアに飛ばそうとしているニュースも流れたが、国内では羽田と関西は近く、北九州が新しくなったらどうなのかというところである。

 そしてS航空に対してはまずJ航空が前後の時間帯の便の割引率を上げるという「対抗値下げ」に出てきた。これはA空輸、D航空も追随して乗客の減ったS航空がやむなく値上げすると既存の大手三社もそのレベルにまで上げるという展開だった。これに対して二年生ゼミで法学部の者が「独占禁止法の疑いがあるのでは」とレポートに書いた。

 二年目に向けてのシラバスも基本は同じだった。加えて中学・高校への出前授業も準備してほしいと教務から要請された。付属校が中心ではあるが、中学生には「モノを運ぶ仕事」高校生には「交通に関わる様々な問題」というテーマを提出した。付属校は茨木市にあって男子校だが、共学化の計画があった。

 

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