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2019年1月 2日 (水)

陽炎(18)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 新たに始まった受託テーマは山口県から宇部空港の滑走路延長に伴う貨物施設というものだった。2000mを2500mにすると747の就航も可能になるのであるが、果たしてそれだけの需要があるのかが問題だった。広島と福岡にはさまれて、双方から山口は「草刈場」と見られていたのである

 航空のことを調べるために資料室にこもることが増えたので、季刊誌の編集長からA空輸の出した「航空ハンドブックQ&A100」の書評を頼まれた。原稿料の変わりにこの本だが、それもありがたかった。コラム記事では新しいボーイングの777という機種の導入についても取り上げた。

 777はエンジン二つながら747とそん色ない大きさのもので今後の主役となることが期待されている機体である 胴体のくびれを減らして747でLD3コンテナが三十個だったのを四十四個も詰めることを強調した。すでにアメリカのU航空が最初の機体を導入し、A空輸が続くということになっていた。

 六月には室長がイギリスとオランダに出張した。両国ともにN社が現地法人を開設していた。突然運輸省から「至急連絡がほしい」と電話があって、ロンドンのホテルを私が呼ぶことになったが、時差のことをまったく考えていなくて、午前二時のところにかけてしまった。This is London West. I’m calling from Tokyo,Japan.Please call Mr. Just a momento.あっ 運輸省の○さんから至急連絡ほしいと電話がありました わかった 

 とにかく中央省庁の人使いは荒く、鉄道貨物の調査もいろいろと要求があって土日も職場に行くことが多かった。震災で落ち込んだ九州と関西・中部・関東のコンテナ輸送も徐々に回復していたが、今後の教訓が何なのかは難しかった。しかし、来年の物流学会はこの経験から発表するネタがあるなと前向きに考えるようにした。

 十月の交通学会はとりあえず無事にクリアした。コメンテーターは大学と研究所の先輩である。二年後のEU内の完全自由化に向けてイギリス国内だけでなく、ヨーロッパ全体、いやイギリスだけでは限界があるという視点から今後も見ていくべきだとコメントされた。そして日本でも進められる航空の自由化にどんな影響があるのかも触れる必要ありと言われた。

 九月で山口県の仕事は終了し、N社からの受託として「阪神大震災における当社従業員の体験」というテーマに加わることとなった。リーダーは主任研究員だが、サブリーダーは私である。委託元は広報部だった。まずは本社の各部署、そして関西や神戸地区の支店、さらに被災地の従業員というパターンでのヒアリングである。従業員についてはまずアンケートだった。

 

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