陽炎(7)
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
福岡市と山口県の調査では月に一度のペースで出向いた。どちらも別々の日となるパターンになってそのたびに往復である。私はA空輸のマイレージカードを作った。クレジットの機能もつけて仮払い金は引き落とし口座に突っ込んだ。三月の末にはもう貯まったマイルで景品をもらうことができた。アメリカでは航空券になるが、日本では認められていなかった。私はクジラの特別塗装がらみのリュックサックを選んだ。これは地震に備えての非常持ち出し服として使うこととした。
山口県の仕事は地元の大学の先生を座長にした委員会に出る形で、県内企業へのアンケート、それを集計し、最後は報告書に仕上げた。この仕事は単年度で終わったが、福岡のほうは次の年度にも続くこととなった。一年目は新型高速貨物船の開発状況や他の自治体の誘致動向をまとめ、二年目は博多港に導入するための課題の洗い出しということになった。
十二月以降はワープロ打ちの作業が増えて土日も職場に出ることが多くなった。大学院生の時はT社のものを使い、東京にも持ってきたが、職場のワープロはF社のものである。ワープロは各自の机にあるが、研究部には五台のパソコンが置かれ、アンケートの集計作業にはこちらが使われた。山口県のものについてはアルバイトの女性にデータを入力してもらっていた。
N本社から受託したものはいずれも東京都内と神奈川までのヒアリングで済んだ。こちらもワープロで文書を作るというものである。それと平行しながら「イギリスの鉄道貨物」の個人研究を進めた。運輸省の外郭団体が毎月出す雑誌は研究論文の宝庫となっており、これは大学院時代から重宝していた。この雑誌に寄稿できるようにならないといけないなと思いながら職場で文章をまとめていた。
大阪には正月に新幹線で戻った。父からO産業大学で新しい学科を設ける構想があると聞いた。物流や観光を設ける可能性があるので、物流だけでなく、観光にも広げることをアドバイスされた。本社からの受託テーマの提案が所内で募集されたが、旅行事業部に対するものはなかったなと気づいた。とはいってもどのような課題があるのかはイメージができていなかった。
季刊誌に出した論稿には交通の専門雑誌から寄稿の依頼をもらった。それから交通の学会の関東部会でも夏にこの問題で発表させてもらえることとなった。鉄道に造詣のある研究員として物流学会のほうに「イギリスの鉄道貨物」で報告したいと申し出ると認められた。
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