陽炎(4)
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10月になると新たに福岡市と山口県からの委託調査、さらにN本社から受託する調査として流通加工と銃脈物流の四つに加わることとなった。福岡市は博多港に新型の高速貨物船を導入、山口県は流通センターの整備、流通加工というのは物流の流れの一行程で静脈物流というのは廃棄物輸送のことである。
福岡市と山口県への出張は一泊二日で打ち合わせに行くという者でチームリーダーの主任研究員とは現地で落ち合うということになった。理由は主任研究員は別のテーマで先に北九州市に行くことになっていたのである。福岡市の港湾局には午後一時、それで朝八時過ぎに羽田を出発するA空輸に乗り込んだ。
九月から機体をクジラに見立てた特別塗装を施したジャンボがデビューしたが、それに当たった。私はまた主翼前方の左窓側に座った。羽田のターミナルビルも十月から場所が移転してつい十年前は海だったところに南北400mの建物となった。前の出張では羽田はバスで飛行機とターミナルビルを移動したが、直接乗り込めるようになった。
左の窓からは富士山が見え、大阪湾、瀬戸内海の島々が楽しめた。特別塗装の機内はシートが海中をイメージした青に統一され、搭乗券の隅の番号での抽選があったが外れた。関門海峡、北九州市の工業地帯は徐々に高度を下げているのが実感できた。内陸に回り込む着陸で翼の先端が建物に触れそうに見えるスリルも感じた。
地下鉄で博多駅まで移動し、バスに乗り換えて海岸近くの港湾局の建物に行った。ロビーで主任研究員と待ち合わせ、計画課の係長と係員と一時間半に渡ってどのようなレポートを作るか話あった。新型貨物船は開発中のもので最高速度は時速90キロに及ぶものである。
窓の外では大掛かりな工事が行われていた。それは国際的な展示場であると先方から言われた。博多湾東部の干潟を埋め立てて新しい街と港湾施設を作るグランドデザインの資料ももらった。バスで博多駅まで移動してホテルに泊まった。次は山口県庁に午後一時という予定である。
博多を九時に出る「こだま」に乗って小郡に移動した。これは主任研究員と一緒である。時刻表を調べて山口までディーゼルカー、駅のそばの食堂で昼食をしてタクシーで県庁に向かった。のどかな駅前の風景を見た主任研究員は「定年になったらここに住むのもいいかな」と呟いた。
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