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2018年12月31日 (月)

陽炎(16)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 朝倉でのヒアリングが終わるとタクシーで甘木鉄道の甘木駅に向かった。西鉄の甘木駅とは目と鼻の先にあり、駅舎はこちらのほうが風格を感じさせた。基山まで一両だけのディーゼルで走ったが、沿線は西鉄と同じくのどかな田園である。基山でJRに乗り換えると銀色の車体に赤と青のラインを入れた快速電車で博多駅に向かった。

 四日目は主任研究員を空港まで出迎えた。天神の地下街で昼食をしてM電機の福岡支社で話を聞いた。手土産はホテルを出る時はフロントに預けたが。残りはだいぶ少なくなった。午後三時過ぎにはN社の博多港支店に行った。ここは港湾局の隣なので終わるとヒアリングをしていることを示すために立ち寄った。

 主任研究員は博多駅から少し離れたところにあるWホテルに投宿した。カードを持っているということで泊まりの出張は大体そこである。港湾局と博多駅はバス移動だった。港湾局の海側の工事現場は前年夏に完成して波のような屋根が印象的である。主任研究員は再度博多港支店に入った。ここには研究所にもいた人が課長としているので、一緒に中州に行くためだった。私はホテルでひたすらメモを文章にする作業である。

 最終日はN社の九州支店に行った。ここは博多駅からまっすぐ海に向かって伸びる通りに面していて中央分離帯のパームが南国という雰囲気をかもし出していた。とはいえ、今の時期は北風が冷たかった。ここでは支店の人から話に加えて車で鉄道コンテナのターミナルまで案内してもらい、さらに福岡空港まで送ってもらった。最後のヒアリング先は貨物施設である。それは広島の調査でも訊ねたところだった。

 すべてが終わったのは午後四時だった。空港で夕食をして帰るのがいいなと思って。帰りの飛行機は夜七時過ぎの便、左前方の窓際を選んだ。すでに自分でチェックインする機械で座席を選べるようになっていた。駐機場を見ながら食事をできるレストランにいたら自分の乗る飛行機がクジラのジャンボとわかった。これで八回目、たぶん最後である。

 離陸滑走は案の定長くかかった。曇っているせいで夜景はまったく見えなかったが、離陸から三十分くらいして突然雲が切れて街の明かりが目に飛び込んだ。それは大阪だった。ふと神戸はと思って主翼にぶら下がったエンジンのほうを振り向くと大阪とは対照的に青白くぼんやりしたなんとも不気味な「街の影」のような姿が横たわっていた。下が見えたのは一分程度で、また雲が広がった。

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