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2018年11月24日 (土)

白い闇(29)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 旧市街を見て駅には午後二時に入った。Lシティに向かう列車は午後二時半の出発で480キロを四時間で結ぶダイヤである。改札をくぐるとホームは一本だけで両側に線路。さらに山側にもう一本貨物用に使われていたホームがあったが、レールはすでに撤去されていた。間には古びた線路が残っていたが、レールは錆びていた。

 ホームの海側に止まっているのは5両編成の黄色いディーゼルカーで一番後ろが指定席、前四両は自由席である。O市が9両、R市が7両だったのに比べると輸送力の差が歴然としていた。しかもこちらは電化しておらず、最高速度も160キロのまま、以前は機関車が牽引していたそうである。次のS港はLシティから伸びてくる路線との合流点であるM市で乗り換えることとなっていた。そこまでは280キロである。

 自由席に乗り込んで海側の席に腰を下ろした。ホームからは海が五十メートル先にある状況である。さまざまな建物は山側にあった。ホームの山側に二両編成のローカル列車、これもディーゼルが到着すると発車である。座席の埋まり具合は一割程度だった。次の駅が市の中心で三割ほど埋まった。石炭輸送の名残で複線ではあるものの、スピードはそんなに出さず、沿岸警備隊の基地の脇を過ぎると内陸を走るようになった。

 麦畑、牧草地と田園を走り、通過する駅はこじんまりとしていた。一度だけ、空の石炭貨車とすれ違った。M市には二時間二十分で到着した。S港までは40キロあり、こちらは電化されていた。下車すると跨線橋を渡ってホームを移動である。それぞれ両側に線路のあるホームが二本並び、Lシティ側で二つの路線が合流するようになっていた。駅舎は赤レンガでS港に向かう側である。ホームの駅舎の間には通貨列車用の線路があったし、二つのホームの間もそうである。

 S港に向かう線路を青い電気機関車にひかれた会場コンテナ貨物列車が通過した。二十フィート二つ、四十フィート一つを積んだ貨車が二十両、トレーラー輸送を鉄道にシフトさせるという政策によって鉄道は役割を保っていた。列車が先に出て行ったLシティ行きの線路でもコンテナの貨車が通り過ぎた。

 八両編成、オレンジとクリームに塗られた六両編成の電車が到着した。四人がけのボックスシートが並んでいてこちらの乗車率は半分程度である。Lシティで買い物でもしたのか有名な百貨店のロゴの入った紙袋やビジネス客と思われる姿もあった。電車は途中五つの駅に停車して三十分で終点のS港に着いた。宿は駅の近くにある民家のベッドと朝食のサービス、夕食は駅前の食堂で済ませた。

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