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2018年11月10日 (土)

十六歳・七転八倒(10)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 冬休みになって仕事納めの日までクラブは行われた。正月二日には現役と卒業生合同の稽古初めがあり、東京などから帰省した大学生や社会人も加わった。最年長は八十歳でさすがに面はかぶらず、車座になっての自己紹介で長々と話をした。卒業生の子弟も来て最年少は30代の親に連れられた小学校二年の女の子である。清二の好みとは乖離があって特に感じるものはなかった。

 推薦入試を受ける予定の世良も稽古に顔を出した。ほかには女子もいてそちらは年配の卒業生が相手した。現役の女子部員の相手も卒業年次の古いところというような不文律があった 清二が掛かったのは市民大会で対決したY大学の学生に東京の私立大学のゼッケンを着けた人、建設会社や保険会社、そして地元の連盟の先生である。

 四日からは冬休み前半と同じようにクラブが再会された。三学期がはじまるとセンター試験が行われた。晋一は防衛医科大の一次試験で涙を飲んだ。一次は通っていないと国立大学の医学部は苦しいと言われていた。センター試験の自己採点ではY大学の合格ラインぎりぎりというところだった。センター試験の翌日からY高校では寒稽古が始まった。武道の授業の一環で朝七時半開始である。その前に剣道部は登校して体を動かしていた。寒稽古に参加するのは一年生だけである。

 剣道の授業は体操着の上に防具という特異な格好だった。経験者の中には昔のものを持ち出して短い袴から足がはみ出していた。試合稽古方式で回る形だが、清二は構えを緩めて相手に打たせるように努めた。ワインカラーの胴の右側はすっかり曇ってしまった。

 寒稽古が終わると二年生がスキー修学旅行に出発した。その間のクラブは一年生だけである。清二がキャプテン代行という形で初めと終わりの礼の号令をかけた。二月になると推薦入試が行われ、男子では世良が合格、女子も一人合格した。

 学年末試験は順位が140番にとどまった。自分では精一杯やったはずであるが、剣道以上に壁にぶちあたっている感じである。大学受験で晋一は浪人が決まった。重岡と松井は私立大学の文系学部、品川はY大学の工学部に合格した。清二は文系クラスを選択した。

 県立高校の一般入試の日はクラブが休み、清二は同情に顔を出した。翌日に中学の卒業式があり、終わると世良がクラブに参加するようになった。春休みに入って清二と同じようにまず二年生と練習試合ということになった。

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