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2018年11月 6日 (火)

十六歳・七転八倒(3)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 団体は家で稽古着・袴に着替えて会場に行った。便通はやはり体育館に着いてからである。袴の後ろの部分を外して前にたくしてしゃがむのは女子の小用でもこうなのかなと思っていた。隣の個室では規則正しい手の動きが行われているようだった。トイレットペーパーをちぎる音をことさら強調して「私は大をしています」とアピールした。前日と同様に直径のある長い塊が水音をたてた。

 垂れとお揃いの胴を着けると体感気温が一気に上がった。最初の対戦相手、T商工との試合は二番目である。前の試合では県内トップクラスのI高校が五人全員の勝利で勝ち進んだ。無効の次鋒は清二と同じ一年生で、一年ぶりの対決である。そのときは個人戦で清二が小手抜き面で一本勝ちしていた。

 先鋒の山田と清二が面をかぶり、T商工と向き合って礼をした。清二は深呼吸をしたり足のストレッチで緊張をほぐしながら山田の戦いぶりを注視した。山田の面はいつもと変わらないが、相手のしのぎ方がうまくて一本になかなかならなかった。互いに有効がないまま時間が来た。

 清二は積極的に仕掛けたが、なかなか取れず、終盤につばぜり合いからの引き胴を浴びた。旗は上がらずすぐに前に出たところを小手で一本取られた負けた。中堅の松井と副賞の晋一は引き分け、大将の重岡にかかった。重岡は試合中盤に合い面勝負に勝ち、最後は面を取り返しに来た相手から返し胴を取った。一勝一敗3引き分けで本数でY高校が勝ち残った。

 I高校との対決では山田が小手で一本勝ちして清二に回った。開始から三十秒ほどで゙清二は突きと見せて面を試みた。相手が後退して手元が上がったので胴に変化するとどんぴしゃりのタイミングで決まった。それからしばらくして相手が小手に来た。面に抜こうとした瞬間、清二は右わき腹からヘソの左にかけて切り裂かれたのを感じた。

「勝負」

 審判の先刻と同時に清二は面を狙った。追いついて気持ちが楽になっていたのか、右斜め前に踏み出し、手首を返して清二の胴を抜いた。今度は背骨まで真っ二つにされた感触でそのまま前に進む清二の耳に「胴あり」の宣告が入った。

 松井と晋一は互いに技なしで引き分け、重岡は小手一本ずつの引き分け、清二の二本負けが大きくのしかかってのチーム敗北である。女子も二回戦で敗退し、三年生の引退も決まった。

 

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