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2018年11月11日 (日)

十六歳・七転八倒(12)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 清二と三年生の部内試合は岡野に小手二本で勝ち、末次には小手を取られたものの、面で引き分け、杉原には小手を先に取ったが面返し胴で追いつかれた。山田には試合中盤に面に出るのを読んで胴を抜いて初めて勝った。時間が来たとき山田は銀色の仮面の中で笑みを浮かべた。

 山県の上段での部内試合はゴールデンウィークの最初の日に行われた。練成試合ではまだ披露せず、五月末の市民大会で公式デビューというつもりだった。審判はY大学の真新しいゼッケンをつけた品川も入った。生徒会長をしている志村も短時間ながら稽古に加わった。

 上段の選手と試合をする機会は少なく、松井が卒業してしまったので参考にする人はいなくなった。とりあえず野村がまず山県と竹刀を交えた。立ち上がりは野村が左小手に剣先を向けてけん制した。山県は横に動いた。野村は左小手から喉に剣先を移動させた。山形が半歩下がって振り上げた腕を下ろそうとした瞬間、野村が右斜め前に思い切り踏み込んで胴に切り込んだ。

 山県は後ろになった足を前に出しながら野村の頭を狙って竹刀を振り下ろしたが、野村の竹刀はそれをかいくぐって山県の胴を捉えた。道場の外にいてもわかるような破裂音が響き、審判をしていた品川・山田・杉原が一斉に旗を上げた。振り向いた山県は中段の構えに戻って野村のほうに向かおうとしたが、旗が揚がっているのに気づいてストップした。

 二本目は野村の打った左小手が不十分でつばぜり合いの状態になった。山県が野村の腕を押し上げて間合いを作ろうとしたら左脇が甘くなった。野村は思い切り逆胴を叩いて再び快音を響かせた。これも審判が一斉に旗を上げた。

 それから青木が山県と対戦した。野村の試合ぶりを真似てまず抜き胴を試みたが、右手を離して腹を守った山県は竹刀をはさみこんで有効にさせなかった。つばぜり合いに持ち込んで左右の胴への攻撃も試みたが一本にならず両者ポイントなしの引き分けだった。

 世良が山県の相手となった。左小手だけでなく、右小手も打っていったりで工夫をしていた。つばぜり合いから右胴を叩いて間をあけたのを杉原と志村が認めて一本になった。主審の山田は認めなかったが、二人の判定で旗を上げた。

 

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