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2018年11月 1日 (木)

十五の春(5)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 村井と弘中が岡野・末次の二人に挑む試合では、村井が岡野に面二本、末次には引き分けという結果だった。弘中のほうは岡野に胴で一本勝ち、末次とは互いに胴一本の引き分けである。次の日に清二のほうはいよいよ残りの三年生と戦うことになった。まず兄・晋一が相手である。

 立ち上がりは剣先でのさぐりあいだった。清二は何度か仕掛けたが、そのたびに外された。待っているようで単なる待ちではないなと感じさせられ、四分の試合時間が経過していった。延長はやらないので引き分けになるが、乾坤一擲で勝負に出た。先革が晋一の竹刀の中結近くまで入った状態から先が触れ合う程度にまで後退し、一気に面に出た。

「しまった」

 大きく振りかぶっていた清二は失敗を悟った。晋一が右斜め前に踏み出し、清二は右わき腹に晋一の竹刀の物打ちがヒットしたのを感じた。竹刀を振り下ろす間に自分の腹が薙ぎ切られ、左後方に晋一がすれ違って行った。振り向いた清二に晋一はすばやく剣先を向け、審判三人は一斉に旗を上げた。

「二本目・・・やめ・・・勝負あり」

 すぐに試合時間がきてしまった。二年生同士の試合をはさんで副将の松井との試合になった。彼は唯一の上段である。清二にとって上段との戦いは始めてだった。

 定石とおりに左小手に剣先をつけ、がら空きになっている胴も意識しながらの戦いとなった。つばぜり合いに持ち込んで引き胴を浴びせたりしたが、審判の反応はなかった。二回逆胴を浴びたがこちらも審判は反応なしである。そうして互いに一本も取れないうちに時間切れとなった。

 最後はキャプテン重岡との勝負である。推薦で入学、中学では県大会個人ベスト8、団体で地方大会、その大会は二回戦という実績を持っていて、高校では一年から団体メンバーだった。個人でも二年のときにインターハイまであと一歩、地方大会で一勝という実績である。

 二本負けでもともとと清二はドンドン仕掛けた。面返し胴を一回、つばぜり合いからの逆胴も一回浴びたがいずれも一本にはならず、引き分けで終わった。

「だいぶ傷が入ったんじゃない」

 終わってから道具を片付けるとき、弘中が声をかけてきた。右側には何本か筋が入りだしたが、左側はピカピカの状態である。

「あと一ヶ月もしたら右側はだいぶ曇るんだろなぁ」と末次が口をはさんだ。

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