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2018年11月 4日 (日)

十五の春(11)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 準々決勝の第一試合は村井との戦いである。立ち上がりにいきなり小手を狙われたのを面に返した。そのまま逃げ切ろうとしたのが災いして一分くらいして村井が小手から胴に変化してきたのをまともに食らった。清二は面に見せて小手で返し胴に応じた村井の小手を切った。

 晋一と白川の試合は終始白川の攻撃を晋一がしのぐという展開だった。白川の出した引き胴はヒットしているものの旗が上がらなかった。終盤に来て晋一のかつぎに乗った白川の胴が快音をたてた。山田と末次は立ち上がりの合い面が山田に、そのまま終了までひたすら末次が攻勢に出てしのがれた。弘中と重岡の試合も中盤に重岡が決めた小手返し面で決着した。

 準決勝第一試合、清二と晋一の立ち上がりは剣先の攻め合いで始まった。今日の兄は返し胴がさえている。そう感じたので、面に飛ぶのは危険と考えた。晋一もそんな清二の心の動きを察したのか、時折自分からグッと攻め入るそぶりを見せた。

「どぉぉぉ」

 清二の左わき腹に衝撃が走った。無意識のうちに左腕が浮いたようだった。晋一が後方に引き、清二は間を詰めた。旗は誰も上げた気配はなかった。そのまま小手・面に乗ったが入らず、体当たりから出した引き胴も審判の反応なしである。

 かつぎで誘って胴を抜くのか、それとも面に富んだら胴を返すのか。清二は銀色の格子の向こうに見える晋一の目をうかがった。面へ行くぞ、と心の中で叫んで小手に変化した。晋一が背を丸めるようにして竹刀を返した手首に自分の竹刀がヒットするのがわかった。

「小手あり」

 そして二本目が始まってすぐに時間が来た。晋一が小手・胴を仕掛けていたのを清二はブロックしていた。

 山田と重岡の試合は激しい打ち合いが続いた。竹刀のぶつかる音だけでなく、焦げ臭いにおいまでコートに漂った。どちらが来ても清二は思い切ってぶつかるだけと思っていた。山田の動きが止まった一瞬に重岡の飛び込み面が炸裂した。

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