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2018年11月 3日 (土)

十五の春(10)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 試合のときのランチはいつも軽いものだった。兄は運動する前に胃袋にものを入れるとだめならしく、カロリーメイトに水分補給というところである。審判は別室で弁当の提供を受けていた。軽く準備運動をして十代の部以上の試合開始である。清二のところはY大の学生が唯一に回線から登場だった。そして清二と商工の二年生の試合が一番である。

「お前の相手はうちの先輩、俺が一年のときに三年で浪人して医学部だよ。まぁ胸借りるつもりでやれば」

 晋一が飛び込み面と面返し胴で勝って戻った清二に耳打ちした。Y高校で一回戦を突破したのは清二の他七人、村井が抜き胴と出小手、白川も抜き胴に引き面、そして晋一が面返し胴二本で勝ち進んだ。末次は面一本、山田は面と小手、弘中が抜き胴で一本勝ち、重岡は延長までもつれて面一本だった。

 Y大に行った先輩は上背があって清二と同じワインカラーの胴を着けていた。最初は裏から小手・面で入った。懐が深くて面に行くには入り込まないと駄目だった。軽々に引き技を出すのも危なかった。つばぜり合いの状態から逆胴も浴びたが、これは旗が上がらなかった。そして両者一本も取れてない状態で延長に突入した。

 どこで小手・胴を出すか、清二はタイミングを計っていた。ずっと面を意識してブロックされていたが、相手がつばぜり合いから間を空けた瞬間に狙ってみた。小手を見せられた相手が抜いて面に来る瞬間に清二は右斜め前に踏み込んだ。自分の竹刀が相手の右胴にヒットしたのが目に入った。そのまま右前方に竹刀を走らせ、サッと振り向いた。審判の旗がいっせいに上がった。

 次の相手となる村井を清二は面をいったん外して観察した。会い面で勝ち、取り戻そうとしたところを返し胴に切っていた。白川は相手の竹刀を押さえ込んで左わき腹が開いたところに切り込んだ。切ったあとに後ろに下がる残心で旗は一人だけ上げなかったものの、後の二人が認めた。二本目は面返し胴で決着がついた。

 晋一の試合も延長まで互いに技なしだった。相手はY大の二年生だが、こちらは晋一も知らない相手である。最後は晋一が相手の手元が浮いたところを胴に切り込んだ。末次は面と小手、山田は面二本、弘中は面抜き胴一本、重岡は面と小手でベスト8に進んだ。

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