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2018年11月 3日 (土)

十五の春(9)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 市民大会の会場は野球やサッカー、弓道などの施設が集まった「運動公園」の体育館で行われた。試合場は六つ設けられ、開会式が終わると小学生の部が始まった。清二は一年生のコートで時計係をすることになったが、さすがに剣道を始めたばかりの学年となると幼稚園からの経験者10人が基本の素振りを見せるだけで、全員参加賞の手ぬぐいで幕となった。それから中学一年男子の部が開始である。

 N学園高校は不参加だが、中学部のほうはエントリーしていた。市内の中学の他、地元の道場に通い、学校では別の部という者もいて70人という一番多い部だった。小学生はおおむね男女混合で50人から60人、中学生は男女別で、男子は50人前後、女子は20人から40人というところである。十代男子はY高校14人、Y商工10人、Y大学から7人が、女子のほうはY高校9人、Y商工11人、Y大学4人である。二十代はY大学の他は刑務所や県庁で20人程度、三十歳以上となると男7人、女8人という具合だった。五段以上は審判ということでエントリーはできなかった。

「小学生の部に比べると前に出る胴の割合が増えてるねぇ」

 ベスト16まで揃って小休止になったところで、紙のトーナメント表に結果を書き込んでいた弘中が清二に声をかけてきた。小学生の部での胴技は引いて打つのが一本になりやすく、前に出るのは審判が旗を上げることはなかった。バチーンといい音が出るのはやはり中学生で、それで一本になる比率は引きが六割、前に出るのが四割というところだった。

「高校になると引き胴よりも前に出るほうが大半だよなぁ」と清二は応じた。

「引きが二割くらいかな」

 その後の試合では逆胴が決まった。決めたのは付属中の者で相手も付属中だった。隣のコートでは小学二年生が終わって忠一女子がスタートした。小学二年生の中には面から出た髪で女の子とわかるケースもあってどんな顔なのかと想像しかねないが、そちらは女子が担当だった。

 中一男子の決勝はN学園と付属中の選手だった。もうこの学年は高校では卒業したあとだなと思いながらどんな試合になるのか注視した。二人とも面と小手で勝ち進んできていた。逆胴を見せた付属中の者はN学園の彼に敗北していた。試合は互いに面一本ずつとなり、延長に突入した。「はじめ」の号令でN学園の選手がグッと間合いを詰め、出鼻面に行こうとした瞬間に胴を抜いた。快音と同時に見守っていた仲間から拍手が沸いた。

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