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2018年11月19日 (月)

青春の旅立ち(4)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 審査員は六人で、四人がマルをつければ合格だった。学科はあらかじめ出された問題の答えを書いて受付の際に提出する形である。品川は審査員の横に座って採点表を回収して集計係にところに持っていく役目だった。四段と五段はそれぞれひとつずつコートが設けられていた。

 晋一の番号は対戦する相手を先に見られる位置にあった。一人目の刑務官は面と小手・面を織り交ぜた戦いぶりで、二人目となるA大学の学生はいろいろな技を繰り出していた。晋一は立ち上がりに気合をかけ、互いに間合いに入ると合い面を出した。竹刀がはじける音と焦げたような匂いが漂った。

 次に刑務官が小手を狙ったのを晋一が合い小手・面に返した。互いに離れた状態から間合いに入り、刑務官が面打ちに出たのを胴に抜いて快音が響いた。じっと見ていた審査員の手がサッとマル印をつけるのが清二に見えた。最後は晋一が小手・面を出し、刑務官が始めて引き胴を見せて一人目が終わった。

 A大学の学生とは様々な技の応酬となった。晋一がまず面を打ち、相手は返し胴を放った。振り向いた晋一が小手・胴の連続を出すとまた小気味よい音が響き渡った。合い面、互いに出小手、最後は真一が引き面、相手は引き胴を出して終了である。面を外した晋一は合計三分の立会いにもかかわらず肩で息をしていた。

 五段のコートでは同じ稽古会の人や高校の先輩が受けていた。実技の発表が終了して十五分後に行われ、四段では大学生の女子一人、年配で二人以外は合格、五段は10人落とされたが、稽古仲間や先輩は合格していた。形では晋一は女子大生と組まされた。仕太刀・小太刀で小太刀の最後二本は相手の腕をつかむことになっていた。

「とりあえずやれたかな」

 終わってから晋一は苦笑いした。「相手の胸に手が触れないように気を使うよね」と任務を終えた品川が冷やかした。

 形は不合格なしで全員クリアした。どちらの合格祝いの席に出るかが問題になったが、やはり今世話になっているところにということでいったん家に戻り、駅前の居酒屋に午後七時集合ということになった。

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