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2018年11月26日 (月)

青春の彷徨

青春の旅立ちからタイトルを変えてます 「文化・芸術」のカテゴリーで参考までに

 3月の部内試合は四人一組のリーグ形式だった。工業高卒の車両整備で入社した二人は三段、文科系の大学卒で関連事業部という総合所は四段である。清二の戦績は二勝位置引き分け、高卒の二人には面返し胴が面二本、胴一本に分かれたのと面フェイント小手で胴を狙ってきていたのをカットしてそれぞれ一本勝ちだった。大卒のほうはさすがに圧力が強くて攻め崩せず、向こうから胴を抜かれそうになったのはなんとかしのいだ。この試合に出るために新幹線で移動した。

 4月からは在来線のホームから新幹線のホームに変わった。通過用の線路をはさんでホームがある形式である。通貨列車の退避で停車時間が長い列車が多かった。通過する列車の速度は285キロでその衝撃波は退避列車を揺らした。清二は動体視力を鍛えるのも兼ねて列車の様子を観察するようにしていた。

 ゴールデンウィークの次の日曜には地方での実業団大会が行われ、またも新幹線で試合会場に行った。清二は支社チームの先鋒として臨んだ。試合は団体戦の勝者数方式である。180チームが参加していてリーグはなく、トーナメントオンリーである。初戦の相手は拘置所だった。会社にはチーム用の胴はなく、それぞれのもの、相手は黒胴に法務省のマークが入ったものをつけていた。

 相手が高卒なのか大卒なのかはわからないが、とにかく背丈は清二よりも高く、痩せ型だった。立ち上がりに互いに声を張り上げて緊張感を振り払った。剣先が触れ合って相手の力量をさぐり、まずは合い面勝負、これは互角である。小手・面、思い切った接近、試合時間が五分となってとにかく後ろには最悪引き分け、できたら一本勝ちで回したかった。時間が来る直前に相手が面勝負をかけてきた。気持ちを集中して相手を見ていた清二は竹刀を左肩にかつぐと手首を返して相手の右胴に切り込んだ。小気味よい音がして旗が上がり、「時間」が来たこともわかった。

 後ろは厳しいことになった。高卒四年目の次鋒は面を二本取られ、中堅の大卒四段は小手で一本負け、この二人は三月に清二と勝負していた。副将に入ったのは高卒八年目で四段、小手抜き面を浴びて一本負け、大将は三十歳を過ぎた大卒の五段だった。チームの負けが決まり、個人の勝負として相手を何とか攻め崩そうという姿勢はあったが、結局互いに有効なしとなった。

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