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2018年11月28日 (水)

青春の彷徨(5)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 電車を運転できる資格を得るとシミュレーターを使った訓練が始まった。といってもパソコンとコントローラーというゲームのようなものである。中学・高校でこういうものが好きな者が何人もいたが、それは実物を動かす前の段階とは別物だった。シミュレーターで半月ほど停車や信号確認の練習をすると車庫と駅の間を回送する電車に指導を受けながら乗り込んだ。車のアクセルとブレーキを一緒にしたレバーと左手がアクセル、右手がブレーキの二種類があり、ビギナーとしてはとにかく所定の位置に止めるのに大わらわだった。

 九月に入ってすぐに全日本の予選が市民大会と同じ会場で行われた。参加者は120人で警察・刑務所・教員そして企業とさまざまなところから参加した。参加資格は二十歳以上ということである。山田は機動隊の特別練習生に入ることができたが、隊内の予備選考で外れた。会場には係員として来ていて清二は激励を受けた。

 最初の相手はいきなり県警の六段、年は十歳上で、全日本に一度だけ出場していた。清二は部の許可をもらってコーポレートカラーの胴を着けて臨んだ。相手はそんな色の胴には興味ないようで、清二の面攻撃に刷り上げ面とかで来ていた。清二の勢いにてこずっていたものの、試合時間の五分が来る前に出鼻の面で沈められた。

 次の週にはJRグループ内の大会が行われた。主催は清二たちの会社である。Aチームには是非優勝というプレッシャーがあった。予選は通信とE社のCチーム、通信は次鋒が体調不良を起こして不在となり、清二は不戦勝、あとの四人は勝った。E社Cとの戦いは先鋒が面一本勝ち、清二は小手二本、中堅と副将が引き分け、大将が面一本という結果である。通信はEのCに善戦して一敗四引き分けとしたため、清二たちがトーナメントに進んだ。

 トーナメントの初戦は九州のAチームだった。コーポレートカラーの赤胴、もちろん互いにコーポレートカラー、先鋒戦は三本の胴が決まったが、向こうが二本でリード、清二は相手の赤胴を二回快音を立てさせたが、一本胴を抜かれた。あとの三人は胴よりも面を意識しての戦いになって中堅は面一本ずつ、副将は向こうが小手二本、大将は引き分けで清二たちは終わってしまった。

「この惜しさ、国土交通大臣杯で晴らそう」

 剣道部長でもある人事部長が表彰式のあとで檄を飛ばした。優勝したのはE社、準優勝はT社どちらもAチームである。

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