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2018年11月27日 (火)

青春の彷徨(3)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 秋の市民大会は金曜朝からの二十四時間勤務だったので、土曜の夜に調整することができた。二十代男子の部に移って20人のトーナメントである。一試合多いのは若い年代の三段以下、品川と野村が入れれていた。品川はY大の大学院に進学が決まった。専攻は機械工学で自動車メーカーかJRもいいなと言った。

 品川は三段の刑務官を面返し胴一本で倒した。相手は高校ではサッカーをやり、再開して三段を取ったばかりだった。野村は二段の大学院生と戦って小手と抜き胴でストレート勝ちした。清二はY大学のキャプテン、四段が相手だった。行き詰る攻防の末に清二が面を決めて一本勝ちした。

 品川は二戦目で電力のゼッケンをつけたもうすぐ三十歳の人と戦い、面で一本勝ちだった。野村は母校の副顧問との師弟対決を面一本で制し、晋一は勝ちあがりの三段に小手を取られて敗れた。清二の二戦目もY大学の学生だったが、面返し胴一本で退けた。品川は刑務官と当たって小手二本を奪われた。

 野村の三戦目は同じ大学の四段を持つ三年生に面一本で勝ち抜いた。清二は刑務官に小手一本をなんとか入れて決勝に進んだ。野村は三戦目で面返し胴、晋一を倒した同学年の三段は攻め崩しての逆胴を決めてまた清二と決勝で戦うことになった。表彰式を待つ子供たちが見守る中での戦いである。

 稽古の絶対量は野村が上、でも社会人としての様々な体験はこっちというのはあえて頭から消して互いの心と体の動きに全神経を集中させた。野村の得意技である面返し胴は清二も同様であり、互いにそれがわかっているの尚更膠着状態となった。つばぜり合いから野村が引き胴を放ち、清二がブロックして面に飛び込んだところを折り返して前に出てきた野村の竹刀が清二の右わき腹から左腰にかけて一直線に切り裂いた。二本目を取り返そうとしたが、野村のどっしりした構えを突破することはできずに時間が切れた。

「力は十分四段だなぁ」

 表彰式の前に清二は称えた。

「正月は来れる」

「まだわからないなぁ。来年になったら運転のための研修もはじまる」

「年内は試合あるの」

「来月、北九州で社会人の大会がある。それが最後かな」

 少しずついろいろな試合に出る機会は増えたが、やはり本業はJRの仕事である。駅業務と平行して運転に必要な知識の習得も始まっていた。春の市民大会は微妙だが、実業団、JRグループ大会、国土交通大臣杯と目標にするものは多々あった。

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