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2018年10月30日 (火)

十五の春(2)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 面をかぶると切り返し、正面打ち、小手・面、小手・面・引き胴、つばぜり合いからの引き技、面に対する技、小手に対する技という基本の稽古だった。これが終わると練習試合ということになった。三年生三人が審判、清二たち入学予定の三人が二年生二人ずつと戦うことになった。先に女子二人が計四試合やり、すべて二年生の勝ちとなった。

 清二の最初の相手は付属中の先輩だが、剣道は高校から始めた岡野である。一ヶ月前に初段をもらったばかりで、ここは全国出場経験者として絶対に負けられないというプレッシャーがかけられた。清二はたまたままぐれで出たと開き直った。とにかく出鼻や返しには警戒しながら攻め勝つことをこころがけた。

「はじめ」の合図と同時に掛け声を出し、間合いを詰めた。剣先が触れて押し込んだと感じて一気に面へ飛んだ。岡野も面に合わせて二人の竹刀がはじけた。清二はすかさず空いたであろう右わき腹に一撃を加えて間をあけた。構えなおしたところで「胴あり」の宣告が耳に入った。

「二本目」の号令で清二は時計回りに動いて小手を攻めた。岡野が小手を抜いて面にしようとしたのを踏み込んで胴を切った。この技が全国への道を開き、全国でもひとつだけ勝ち星を拾うこととなった。鈍くはじける音が耳に入り、相手の腹をなぐ感触が手に伝わった。右前方に抜けて振り向くと旗が三本揚がっていた。

 次の相手は同じく付属中の先輩である末次だった。剣道を始めたのは中学からだが、その前はサッカーをしていた。立ち上がると剣先は岡野よりも強く感じた。清二は反時計回りに旋回して面攻撃に出た。末次の竹刀が清二の竹刀を受け止め、伸び上がった清二の胴に切り込んできた。面返し胴のうまい先輩ということは頭に入っていたが、やはり餌食になってしまった。

 二本目は岡野と同じように裏から回り込んで小手・面を見せた。ブロックされると引き小手を出して追いついた。それから合い面になったり、互いに接近してつばぜり合いになったりした。清二は竹刀を押さえ込むようにして間合いを詰めた。攻め込まれた末次が左わき腹の空く防御姿勢をとったので、すかさず切り込んだ。武士の時代が終わっても刀をさしていた時代の名残であまり旗のあがらない技ではあった。

 甲高い音が道場に響いた。そのあとはそのまま前ににじり出るようにして「引き面を打っても場外にオーバーランしますよ」という気迫を末次に示した。審判は二人が旗をあげ、一人は認めなかったが、多数決で決まった。

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