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2018年10月31日 (水)

十五の春(3)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 練習試合の後は顧問や卒業生が元に立っての稽古だった。かかり終った三年生も元に立ち、昼前に終了した。日曜日は休み、次の週はクラス対抗のスポーツ大会が行われ、剣道部は剣道の審判を担当した。清二は午前は県立図書館などで過ごし、夕方に部活のために出向いた。

 合格祝いと前年の全国出場の褒美も兼ねて胴だけを新調してもらった。いつも兄・晋一のお下がりだったのが初めての新品である。晋一の胴はオーソドックスな黒に胸には紺と白の飾り、抱き茗荷の家紋つきだが、清二はワインレッドにしてもらった。胸の飾りは黒一色にして家紋も入れていた。その胴は一般入試の合格発表の日にデビューさせた。新しい胴の初打ちを誰がするかは大きな関心事で、切り返しに初めて左右胴が入った。そのとき、清二の前にいたのは岡野である。

 合格発表の翌日には推薦を一緒に受けた村井と弘中が見学に来た。二人とも一般入試に専念するため、しばらく稽古はしていなかったが、素振りだけは日課としてやっていた。次の土曜日には帰省した大学生も交えての稽古となった。基本の後の練習試合では村井と弘中、そして清二は二年生でまだやっていない三人と戦うことになった。推薦の女子二人も二年生の一人との戦いである。

 審判は関西の私立大学の一年生で、三年生の二人が副審となった。村井と弘中は互いに有効打がないまま引き分けた。清二は志村に引き胴が不十分だった直後に折り返して打った小手で一本勝ち、女子の試合をはさんで戦った杉原には面返し胴が、面二本と胴に旗が割れながらも一本となった。清二自身は杉原の左面はかすり傷で、自分の腹は内臓がドバッと出ているだろうなと感じていた。

 女子の試合をはさんで次期キャプテンと目される山田と戦った。彼も二年生の中では唯一の推薦合格である。中学では全国に一歩及ばず、地方大会では二回戦まで進んでいた。二年生はみなスリムな体型であるが、背は低いものの、どっとりした体つきである。清二は出小手や抜き胴に警戒しながら面と小手・面をまじえてチャンスをさぐった。

 試合は終盤までもつれる展開だった。山田が不意に竹刀をかついだ。がら空きになった面に吸い寄せられるように打って出たとたん、右わき腹からヘソの左下にかけて衝撃が走った。「しまった。引き出された」と思ったときには「胴あり」の声と終了の合図が耳に飛び込んだ。

 練習試合のあとは大学生も含めた卒業生や三年生に掛かった。春休みに入ると毎日練習試合を行うと顧問から伝えられた。道場を出ると校庭の桜は蕾がかなり色づいていた。

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