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2016年7月10日 (日)

帰郷(2)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 切り返しからの基本稽古は見るだけである。一年生で中学から始めた約十人は七夕の頃から面をかぶったが、別のグループだった。一年生の経験者八人、二年生二十二人が回るところに長男が加わり、三年生三人も面をかぶったので偶数になった。号令をかける新キャプテンのKは市民大会の中一の部で優勝し、前のチームでもレギュラーに入っていた。

 普通の切り返しに続いて左右の胴を打つ切り返しも行った。これはS学園ではやっていなかった。正面打ち、小手・面打ち、鍔競り合いからの引き技、面に対する技、小手に対する技をやるとキャプテンが基本の終わりを告げた。面を着け始めた尚樹に最初に来たのは二年生の真ん中あたりにいたYである。長男はその後ろだが、彼の相手をするのはゴールデンウィークの時以来である。尚樹自身、土曜日だけの稽古は夜であり、弟の道場でとなっていた。

 最初に切り返しをさせてもらって二分程度様子をみることにした。最初の面を受け止めるとすかさず引き胴を浴びた。へそ下までしっかり切り裂けてから間を空け、剣先が下がったままという形ではなかった。技量的にはまぁまぁと見て次の面攻撃に対しては抜き胴で応じた。尚樹にとってこれはずっと得意技であるが、足の動きが落ちていることを痛感した。それから一呼吸おくために剣道経験をたずねると中学からという返事である。それ以前に何かやっていたか尋ねるとサッカーだった。グランドの狭いN中では運動部は剣道に限られていた。

「基本はしっかりしているから後は業の幅を広げてね。例えば、小手・面に混ぜて小手・胴というのもある。じゃあラスト一本勝負で」

 Yに面を打たせて胴に返すのを二回やっていたので、今度は尚樹のほうから面攻撃をしかけてみた。九州では遠い間合いからと言われていたが、東日本では間を詰めてであり、年を取ってくるとそちらのほうが合理的と思っていた。剣先が触れ合ったところから一歩入ってもYに動じた様子はなかった。面に飛んでみた瞬間、右わき腹から左腰にかけて鋭い衝撃が走った。尚樹は「いいところだ」と言って終わりにした。

 長男には打ち込み稽古のあと、一本勝負でわざと左わき腹を開けてみた。切り込んできたのでその意図はわかるようになったが、まだ一本になるか微妙だった。そのまま面に飛んでみたら小手を食らった。そのあとは同じように元に絶つ三年生のほうに行かせた。

 それから女子部員、そしてUの末っ子となった。最初は面返し胴を試みたが、面の勢いに食い込まれてしまった。これは並みの中一ではないと感じた。一本勝負でも面に出たのではなく、少し手元が上がったところを胴に飛び込まれた。こんなことになったのも東京ではなかった。

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