下り坂(204)
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
役員になってからの昼食は「ビジネスランチ」ということで社長をはじめとする取締役四人でとなったが、社長が出張なので三人でだったた。役員会議室でターミナルビルの食堂から取り寄せた日替わり定職が定番である。職場体験の中学生は弁当を持ってきていて応接室で食べさせた。
「手荷物の作業も体験させましたが、あとは羽田への折り返し便だけですかねぇ」
午後一時に羽田に向かう便が出ると次は午後四時までなかった。
「コックピットに入らせるのは機長が席につくまでですよ」
「到着したら機内清掃員と一緒に入って、あっ祇園太鼓饅頭の運び込みはしてもらいましょうか」
北九州出発便は七月はこのお菓子を出していた。今の時期はやはり冷たい飲み物の補充が中心である。
「それで待ち時間はどのように」
「客室乗務員の訓練は女子ならまぁ。やっぱりシミュレーターの訓練でしょう」
路線拡大に伴って737のシミュレーターを一台、A空輸から譲渡してもらった。北九州を出発して羽田への通常着陸、そして羽田離陸時のトラブルによる緊急着陸の予定が入っていた。
「訓練受けるのは誰かね」
「サンダースです」
米軍で空中給油機を操縦していたパイロットで、シミュレーターの副操縦士席にはA空輸から遺跡したパイロットが座った。六月に入社したばかりで、まずは737のシミュレーターで日本の空に慣れてもらうというところだった。最初は羽田・北九州・福岡・宇部への晴天時・夜間・悪天候と各フェーズでの着陸、そして緊急着陸として四空港の他に成田・中部・伊丹・関西・岡山・広島・松山・高松・高知・徳島・小牧基地・浜松基地・横田基地・厚木基地が加えられた。これらをクリアするといよいよ常務である。
「ブリーフィングの様子はどうでしょうか」
「それは機内と重なる時間が多いですから」
ランチが終わると哲也と運航担当がシミュレーターのある部屋に彼を連れて行った。時計の針はまだ午後一時前である。
※ ここまでといたします
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