白い闇(20)
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帰国する前日に石炭記念公園のあるTGという所を見に行くことにした。大学からは南に約30キロとそんなに遠くないのに、どういうわけかまだ行っていなかった。行きは「国鉄」帰りはバスということにしてキャンパスの北、1500mにあるJ駅に歩いて向かった。キャンパスの北東部の門を出たのは九時である。
一戸建ての並んだ住宅地を歩き、自動車専用道をくぐってすぐにJ駅の平屋の木造駅舎が現れた。O駅からは逆S字カーブを描いて入ってくる複線の真ん中にあるホームとそのホームの南側にある行き止まり式のホームという構造である。駅舎は線路の南側にあった。ホームの北を貨物の線路が走り、駅の東側には「BFL」のコンテナが積まれた貨車が止まっていた。
改札をくぐるとLシティに向かう特急が通過した。列車の姿が見えなくなると折り返しTG行きになる二両編成のディーゼルカーがやってきた。これも黄色い車体に青い帯というデザインである。社内は四人がけのボックス席が並んでいた。私はどちらに座ろうか迷ったが、進行方向の左側にした。
この路線は一時間に二本というダイヤだった。九時に出ると次は九時半である。定刻になると短い汽笛を鳴らして油化したのディーゼルエンジンがうなりだした。隣の二本の線路とつながる部分を過ぎると列車は右カーブにさしかかった。自動車専用道をくぐり、一戸建ての並んだ住宅地を過ぎ、頭上を道路とモノレールが横切ると右側にホーム一本の駅に着いた。
この駅の左側はモノレールの車両基地である。右側は農業公園となっていた。次の駅でJ駅に向かう列車と待ち合わせた。J駅と最初に止まった駅はそんなに長いホームではなかったが、ここは線路が二股に分かれ、しかも長かった。それが石炭輸送、さらに石灰石輸送の名残であることは明らかである。
次の駅は石灰石が取れる丘に面していて、昔に比べると短いが、石灰石運搬用の貨物列車が止まっていた。沿線の景色は完全に田園化していた。帰りに乗る予定のバスは線路の西二キロ前後を平行に走っているが合流するのはTGである。終点のひとつ前の駅でも対抗列車と待ち合わせ、一時間でTGに到着した。
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