« 基山パーキングに… | トップページ | ここは… »

2016年6月 8日 (水)

下り坂(193)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 市立大学での交通学会は十月最初の土日に行われた。哲也は日曜日の統一論題で「北九州エリアの航空利用の現状と課題」という講演を行うことになった。一日目は自由論代で鉄道や自動車、海外事情といったものが取り上げられ、夜には懇親会が行われた。市立大学はモノレールの沿線にあり、小倉駅から約十分でアクセスできた。

 最寄り駅の名は競馬場前で副題として「市立大学」と入っていた。大学と競馬場の間をモノレールが走っていて、その下の国道は吸収自動車道の小倉南インターに通じ、福岡や福岡空港への高速バスも通った。モノレールの改札を出て左に行くと競馬場、右が市立大学である。駅から市立大学の門までは100m足らずだった。

 門のところには武道館があり、土曜日には竹刀のはじける音がしていた。市立大学は法・経・文・外国語・国際環境工学の五つから成り立っていて、文系四学部はここ、理系だけ20キロ西に離れた「ひびき」というところにあった。25年前に建てられた本館は高さ60mあった。

 キャンパスの東には陸上自衛隊の駐屯地、その東には刑務所があった。周辺は住宅地で南東にある丘の上には中学校の校舎が見えた。学会は本館の二階にある大教室と四つの教室を使って行われた。哲也の発表は大教室である。四つある統一テーマで三番目ということになっていた。

 キャンパスに着いたのは朝九時前、控え室に行く前に手洗いに行った。四つの個室のうち「和室」が三つというのは珍しいが、二十世紀の名残であることは確かだった。水溜りには直径三センチ、長さ三十センチの塊が少し右に向いた状態で横たわった。流すレバーはどこにあるんだと木がついた。

 ドアの外で並んで小用を足していた二人組みが出て行ったのを幹からって哲也は紙を便の上に載せて外に出た。手を洗っているとどこかの院生と思われる者が入ってきた。彼は「洋室」へと直行した。控え室に入った哲也はコーヒーで一息いれた。砂糖は入れず、クリームのみである。

|

« 基山パーキングに… | トップページ | ここは… »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 基山パーキングに… | トップページ | ここは… »