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2016年6月16日 (木)

下り坂(201)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 かつて一番ゲートはバス移動だったが、ターミナルビルから直接乗り込めるように改良された。午後五時には日が暮れて外は真っ暗である。哲也は一番後ろの通路側の席をリクエストしていた。ビジネス客は少ないが、クリスマスイブのためなのかほぼ満席の状態である。定刻どおりに機体はプッシュバックをはじめた。

「本日はS航空を利用しただきありがとうございます。当機はただいま離陸の順番待ちをしております。現在のところ八番目となっており、着陸機と交互に滑走路を使うため、二十分程度待つ見込みです。お急ぎのところまことに申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください、なお、到着地北九州の天候は晴れ、航路上もおおむね良好な天気となっております」

 機長がアナウンスを始めた。S航空では景色や満月などの天体など乗客に様々なアナウンスを行うように指導していた。前方で客室乗務員が非常設備の案内を開始した。三十年業界にいるが、乗客の無関心ぶりは全く変わっていなかった。

 飛行機は北向きに離陸した。直前に「これから北向きに離陸します。東京都心を飛行して西に進路を取ります」と放送された。まっすぐに品川の上に達し、窓側の客は顔を寄せて夜景を見ていた。皇居の手前あたりで機体はグッと右に傾いた。眼科には新橋付近が見えるはずである。一蹴すると羽田の上空に達して、そのまま西へと進んだ。

 水平飛行に移るとクリスマスモードのチョコレートケーキが配られた。ドリンクは紅茶を頼んだ。大阪のあたりで左に夜景が見えると紹介された。地図とは逆さまの光の海を窓側の人は見ていた。

  羽田を離陸して一時間半で北九州に着いた。宇部空港の真上から左旋回して南に回りこんで北向きに着陸した。哲也は到着ロビーを出るとオフィスに足を運んだ。こちらの出発ロビーでは社長も立ち会ってイベントをしていた。社長は北九州のあと、福岡にも移動したそうである。

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