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2016年5月20日 (金)

下り坂(178)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 羽田空港の整備場でA380を航空政策研究会のメンバーに公開することになったのは2018年の正月明けだった。午前と午後の二回に分けて合計四十人ということで行ったが、やはり抽選になった。一号機を受領した十一月はじめに航空雑誌の取材で対応して以来、羽田の格納庫にこの機体がらみで入るのは二回目である。

 午後の部の参加者の一人が中田だった。彼は再び航空機リースの部署に移動してATR72の日本就航に奔走していた。それはMRJにとっては「目の上のたんこぶ」であった。天草の地域エアラインが42のほうを導入したが、一回り大きな72に興味を示す会社はなかった。

 最初に会議室で整備本部長から380の概要の説明があった。それから参加者全員にヘルメットが配られて。会議室は三階で、そこから地上に降りて格納庫へと歩いた。格納庫の高さは45mあり、まず、格納庫の奥、高さ30mの作業用通路から見てもらうことになった。一号機は福岡へ飛行中で入っているのは二号機である。

「福岡では入れるスポットが限られているそうですね」

 研究会の座長のH大学教授が哲也に言った。この先生のゼミは「飛行機オタク」のたまり場になっていて、後期試験が終わると見学会という予定になっていた。

「七番と八番が大型機用ですが、八番でないと出入りがしづらいのです」

「二階席ようのブリッジもないのでしょう」

「そうです。スーパーシートの方は二階のビジネス席に座っていただきますが、車椅子の方はやなくファーストとしております」

 通路から380を見た一行は口々に「ほう」とか「うぉ」と喚声をあげた。哲也は「デカイばかりが能ではない」と内心思っていた。

 地上に下りると二番エンジンの下で説明を受けた。777のエンジンと推力はほぼ同じ、これが四つつけて世界最大の旅客機となったという触れ込みである。それから一行は左側の第一ドアへのタラップを上がった。機内では整備士によるチェックが行われているということである。

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