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2016年5月30日 (月)

下り坂(188)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 校長と同窓会長の挨拶のあと乾杯となった。ビュッフェ形式の食事で、真ん中のテーブルに料理、周りにはテーブルが八つ置かれた。椅子があるのは元教員用のみで、哲也が在学していたときの先生は体育が定年間近、数学が別の学校の校長を退職したばかりである。かなり多くの先生が鬼籍に入っていたのに時の流れを感じた。

 初代同窓会長の子供は二人ともN中からK高に進んだ。いったい誰が「N中・高エスカレーターを爆破したテロリスト」なのかという話が出て、とりあえず一期生でK高に逃亡して今は関西にある大学で教授をしている人ということになった。とはいえ哲也も共犯者であり、ここに来ている中ではK高へ逃亡した初期の中で唯一顔を出している者である。

 哲也の二期下に次のK高への逃走した者がいて市役所に勤務していた。こちらも子供はN中からK高である。そのあとはもう各期にいるという状況だった。三期生の一人はK高への脱走に失敗してN高に、子供はN中からQ国際大学の付属高校である。子供の話題となると哲也には辛いものがあった。

 小松は市会議員としてあちこちのテーブルを回っていたが、ようやく同期のところに戻った。「介護ロボット」の話が出て、そう遠くない将来にお世話になるかもしれないという流れとなった。

「まぁ、五歳くらいの女の子の大きさでも大人三人分の馬力があるものとかあればいいのかな」

「それはどういうことかね」

「純粋にスペースの問題」

「人工の音声はちっちゃな子のほうがいいという人もいるかもなぁ」

 さらにドローンを使った宅配の話も出た。とにかく起伏の激しい地域で高齢者の買い物に難儀しているという問題も北九州市の課題である。

「まぁ、そういうわけで新しいビジネスの種はたくさんあるから・・・S航空やめても活躍の場は」

 それから哲也は剣道部の固まっているところに足を運んだ。一年前の玉竜前の稽古で竹刀を交えたキャプテンは山口の大学の教育学部に入った。まだ未成年ということでアルコールはNGである。大学でも剣道部に入って秋からはレギュラーとして活躍が期待されていた。

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