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2016年5月 3日 (火)

Our generation(56)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

「個室」の壁には使い方のイラストが貼られていた。それは駅でもやっていた。外国人観光客も欧米を除くとスクワットスタイルでも違和感なかろうという著名な文化人類学者の論説があってトイレ改修コスト節約の理論武装となっていた。商業施設も大半が洋式化、市内の小中学校でもスクワット撲滅が始まっていたが、どんなトイレに遭遇してもうろたえないためにヒロはあかて入らせた。

 とにかく両足を溝にまたがせてしゃがませた。剣道の始めと終わりの礼の所作とは微妙に異なるが、こういうスタイルに慣らしておけばあとあと都合がよかった。隣の「個室」にどこかの小学生が入って仲間から「お前うんこかぁ」と言われているのは昔も今も変わらなかった。長男は必死で踏ん張って直径が五センチはある塊を落下させた。

 トイレを出ると部の監督に出くわした。「子供連れてきた」と伝えると「ところで、国土交通大臣杯の選手のことだけど」と言われた。長崎時代は剣道から離れ、本社に戻って一年は稽古はしたものの、試合に出るのは遠慮していた。副将か大将ということである。JRグループ大会に出た一人が業務の都合により出られなくなり、代役が必要とのことだった。

「野球部のようには行きませんよねぇ」

「それは仕方ないな」

 監督は不動産事業部だった。入社時には旅行事業部で大分駅の副駅長も務めた。不動産部はとにかくあちこちにマンションを建設しており、会社の収益の柱と化していた。

 長男を妻に戻すとヒロはまた会場のあちこちを巡回である。開会式直後は四つのコートで試合が一斉に始まった。ヒロは長崎と熊本のチームの対決を見ることにした。長崎は赤胴、熊本は緑色の胴で統一され、どちらも金色の道場のマークを入れていた。

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