白い闇(11)
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駅舎は木造の平屋だった。駅前は猟師町という雰囲気である。指導教授が海岸にシーフードの店が並んでいて、灯台のある岬までは2キロ余り、О城や陶磁器工場だけでなく、ここも観光ルートに加えることを市は旅行会社に働きかけている、と言った。空港の滑走路の延長線上にあるため、ジェットの音が降ってきた。
ホームの海側の側線は一本だけであるが、山側には三本あり、緑色に塗られた5両の客車が留置されていた。その外側には雨よけに覆われた線路があって昔使われたと見られる車両が展示されていた。そこは鉄道資料館の一部だと指導教授が言った。ここも興味ある観光客にアピールする絶好のスポットである。
一同は資料館を見学して解散ということになった。展示車両の前には腕木式の信号機と転轍機が置かれ、隣には赤レンガの倉庫を改造した展示館があった。入り口を入ってすぐの所に置かれたのは開業当初の機関車で二つの動軸と前後に一軸ずつ、石炭や水は後ろの部分に積み、私よりも背が低かった。
その機関車の後ろにつながれた客車は馬車三台をつなげたような感じで、色は茶色、中に入ることはできないが、三人ずつ向かい合って座る小さな箱である。その次の機関車は開業から30年後に導入された貨物用機関車で、四つの動軸、前に一軸、石炭と水を積む部分に産軸あった。
この機関車は高さが3mあり、長さも15m、600トンの貨車を牽引できたそうである。一部はレール幅の狭い植民地用にも改造されたと説明版にあった。最初の機関車もこの機関車も製造から70年ほど使われ、M港駅の隅に置かれたのを展示用にきれいにしたそうである。貨物機関車の運転席には入ることができた。
貨物機関車の後ろには石炭貨車がつながれていた。それからLシティとの間の急行牽引に使われた機関車、これも運転席に入れた。三つの動軸は直径が2m、前に二軸、運転席の下に一軸、石炭・水の所は四軸あり、О城横の工場でこのタイプの1号機として作られてから貨物で試運転して185キロをマークしたそうである。実用の最高速度は130キロ、О駅とLシティ北駅724キロを七時間で走った。現在は四時間半だと「博士」が解説した。
その後ろにつながれたのは郵便車と一等車でワインカラーの車体である。機関車も側面はワインカラーだった。中に入ることが出来て、郵便車は仕分け棚や荷物のレプリカ、一等車は駅側に通路、資料館側は三人が向かい合わせに座るゆったりしたボックスで間にはテーブルもあり、凝った内装が施されていた。
資料館はこの地区の鉄道の歴史の説明や鉄道に関わる様々な道具、模型、写真、昔や最近の切符が展示されていた。これらの多くは寄贈されたものと指導教授は言った。さらに鉄道に関する図書の販売コーナーや記念品、鉄道模型の販売コーナーもあって時間がたつのを忘れてしまいそうになった。
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