白い闇(12)
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
念願のLシティ訪問は年が明けて実現した。週末は地元の小中学生との交流やイベント見学で予定が埋まり続けたからである。往復はB国内だけなら最速の特急である。朝七時台から夜七時台まで二時間おきに七往復、土曜朝一番の列車は奮発して一等を学生生協でネット手配してもらった。それも運転席のうぐ後ろで「命の保障はしませんよ」と担当者は笑いながら言った。宿はベッドと朝食のみで安く、日曜日の最終で戻る日程である。
朝六時過ぎにドミトリーを出てモノレールでO駅に向かった。O駅ではモノレールと「国鉄」の改札は二階でつながり、駅前のデパートやホテルとは歩道橋でつながっていた。路面電車・バス・タクシーからは一階の改札で、こちらは一番ホームに直結である。一番ホームからLシティ特急の発着が行われた。
列車は9両編成で後ろ6両は二等、ビュッフェ車をはさんで前2両が一等である。二等はモーターがあるが、前三両は動力がないので静かな車内だと「博士」から聞いた。車体は運転席の周りとドアは黄色に塗られ、その他はワインレッドである。二等は横四列で定員72名、端は60名、一等は横参列で48名、端っこは36名で、床がかさ上げされて窓の位置が二等より15cm高かった。私の座席は「1C」運転席反対の前方司会抜群の位置になった。
七時二十分に定刻どおり発車した。信号が赤から青と黄色の70キロ信号に変わり、運転台のスピード計にも70という車上信号が出た。列車は少し進んで、二・三番船からつながる線路に移り、四・五番からの線路とも合流した。視界は霧で悪かった。線路の両側の景色は200m以上離れると白い闇に沈んだ。左手の貨物ターミナル、右に分岐していく路線、モノレールとの交差もかろうじてわかる程度である。
一等へのサービスとして配られるサンドイッチとコーヒーが来た。視界は悪いままで、時折現れる信号は青と黄、運転台の信号も70のままである。三十分くらい70キロ制限で走ってようやく160まで上げることが許された。真っ赤な電車を抜いたり、赤い車体に運転台の下が白の電気機関車が牽引するコンテナ列車とすれ違った。
※「博士」は黄色が交流専用、白は交流と直流と言っていた。
見通しがよくなって160キロ制限も解除されたが、Oから最初に停車するE駅まで192キロは通常72分が93分かかった。途中駅の停車時間は三分となっていたが、二分で発車した。ガラガラだった一等は半分程度埋まった。私の反対側の二人がけには若い夫婦が腰を下ろした。
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