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2015年12月18日 (金)

Our generation(37)

再び進めることにします

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 ヒロの配属は鉄道事業部となった。同期は30人いて文系10人、理系が20人である。理系は多くが鉄道事業であるが、文系のほうは関連事業や旅行事業といったところに7人、残りの三人は小倉・長崎・鹿児島の駅配属である。ヒロは鹿児島だった。高卒の場合は駅業務・車掌を二年ずつやって、五年目から電車かディーゼルカーの運転士研修を受けるが、大卒はそれぞれ一年、三年目に運転士研修である。高卒との違いは新幹線の場合もあって鹿児島に行くということは栄えある伝統だった。小倉は電車、長崎はディーゼルという方向が示された。

 入社式の後、一ヶ月間は門司にある研修所に泊り込みでビジネスマナーから会社の歴史といった基本を叩き込まれた。創立から28年、北海道・四国と並んで三島会社に位置づけられ、特別な基金でやり繰りするというところから三島では初めて新幹線を運行し、株式の上場にまでこぎつけたということを教育担当は誇りを持って話した。唯一の海外航路運営、新型特急電車の導入、クルーズトレインと愛着を持つように仕向ける話術をヒロは半ば冷めた気持ちで聞いていた。

 少子・高齢化による利用客数の減少、採算の合わない路線の整理、地域交通の担い手としての責任、そうした問題が鉄道事業に横たわっていた。それでも会社の本流に配属されたという自負で運転士研修までの日々をまずはクリアしていかねばと気持ちを奮い立たせるようにした。同じく鹿児島配属になった者は地元の出身で、こちらは土木が専門だった。そのため運転とは縁のないのを残念がっていた。理系の20人のうち、機械工学出身の二人は車両基地勤務をする中で試運転や回送を動かすそうである。

 駅に赴任するとまずは自動券売機と自動改札機の取り扱いの説明を受けた。券売機に現金や乗車券の用紙を入れたり、改札機で切符にトラブルがあった場合の対処法である。そして伝統ともいわれる「トイレ掃除」もこまめに行った。和式トイレの水の流し方を知らない子供がそのまま出て行った後、体に似合わない巨大な便が残っていたり、若い男が出た後にヌード雑誌が落ちていたりしていた。

 駅の勤務は24時間交代になっていた。午前七時に出退勤である。ヒロは新幹線の出改札にいたが、仮眠は列車の動かない深夜の四時間で、後は帰宅してからという具合だった。少し体が慣れてから鹿児島市内の観光スポットを訪ね、桜島、知覧と足を伸ばすようになった。免許は持っていたが、移動は専ら公共交通機関である。七月になって最初の非番日には枕崎に向かった。行きはバスで帰りは列車だった。

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