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2014年10月28日 (火)

Our generation(31)

小説を復活いたします 

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 姪浜駅のホームに止まっている福岡空港行きの電車にヒロは防具袋と竹刀袋をかついで乗り込んだ。二駅先の西新で降りるが、JRから乗り入れてくる電車だと人が多いかもしれなかった。土曜日の昼下がり、卒業した高校の稽古に参加する予定である。

 国家公務員総合職は一次で駄目だった。同じ大学からは国土交通省に二人合格したが、それは工学部である。エアラインは駄目で、N通運とJRに内定をもらうことができた。ヒロは考えた末にJRを残した。

 正面が赤と黒に塗られた電車が到着した。ヒロが行く会社の車両だが、そのまま地下鉄車両にとどまった。銀色の車体にドアだけ赤、シートも赤となっているのはコーポレートカラーだが、口の悪い者は「事故の時に血の色を目立たなくする」と言っていた。

 西新に着いて階段で地上に出たのは午後二時を少し回ったところである。この日は全学年模擬試験ということで稽古開始は三時だった。就職活動中は素振りだけ、内定をもらってから剣友会の夜の稽古に復活した。母校に顔を出すのは正月以来である。

「おう。進路は決まったの」

 更衣室に行くと土曜日の稽古で常連の人から尋ねられた。ヒロがJRに入ると応えると「福岡勤務ならいいね」と言われた。鉄道営業部門になるか関連事業部門になるかは分からないが、最初は博多・小倉・熊本・鹿児島・大分・宮崎エリアの駅に配属されると聞いていた。

 一年生は男女合わせて十八人入ったが、一学期の終わりが近づいた時点で男七人、女五人に減っていた。女子の相手ができるのは卒業年次が古いOBという不文律があるので、とりあえず七人の一年男子と初対面ということである。

 準備体操と素振りは一緒にやったが、基本の稽古は見るだけである。切り返し、正面打ち、小手・面、小手・胴、面に対する技、小手に対する技が済むと、OBが元に立って現役が並んだ。OBは八人で六人は社会人、ヒロともう一人の学生はS学院大商学部の二年で大学の部ではやっていなかった。彼は翌月に四段挑戦を控えていた。

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