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2014年6月 9日 (月)

明日君は陽だまりの中で(5)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 永井の二試合目はO学園のもう一人である。開始から一分で、鍔競り合いから引き胴を放って間を作り、相手が出てきたところを小手で先行した。二本目は取り返そうと面に来たのをすかさず胴を抜いた。場内に快音が響き、英樹たちは拍手を送った。

 三人目はI商業のキャプテンだったが、永井は時間ぎりぎりのところで小手から胴に行く技を使って県大会出場を決めた。準決勝の相手は会場となっている高校の選手で、面抜き胴が一瞬遅れて相手の「面あり」になり、そのまま試合が終わった。

 昼食は会場近くの弁当屋で作られたものである。ご飯には梅干、唐揚げにキャベツの千切り、かまぼこ、卵焼きというものである。水分補給は麦茶だった。まだ五月なのに降り注ぐ日差しは夏と変わらなかった。

「大将に永井君を移して次鋒を中堅に、次鋒には斎藤君を入れます」

 大会本部から戻った顧問の先生が告げた。キャプテンは応急手当で足首に包帯を巻いていた。英樹は素振りを三十本して手足をほぐした。団体の初戦はT工業で、五番目の試合だった。

 先鋒の松井と英樹は面を着け、向こうも二人が面をかぶった状態で整列した。相手は黒胴の正面に金色の校章入りで統一していた。ほとんどのチームはこのように校章入りの胴を揃えていたが、N高にはなかった。

「やー」「どやー」と先鋒同士は気合をかけた。どちらも背丈は百六十五センチ程度で変わらなかった。互いに小手・面の連続でスタートし、鍔競り合いの状態になった。相手が引き面を放ったのを松井はしのいだ。

 英樹はアキレス腱をほぐしたりしながら試合の進行を見守った。女子のコートからは甲高い掛け声が聞こえたが、そちらを見ることはありえなかった。松井は飛び込み胴を仕掛けたり、遠い間からの面で相手を崩そうと試みた。

 両者引き分けかなと思ったとき、面を打ってきた相手が離れ際に小手を叩いた。審判の一人が旗を上げ、もう一人が続いた。あとの一人は旗を交差して棄権したが、多数決で一本である。

 

 

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