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2014年6月17日 (火)

明日君は陽だまりの中で(25)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 二月の下旬に昇段審査が行われた。後期末試験前でクラブが休みに入る前日である。高校で剣道を始めて一年の冬に初段を取った二年の先輩が二段、高校で剣道を始めた一人が初段、そして英樹は二段挑戦である。

 近くに住む者は実家で夜を過ごし、寮に留まっている三人は顧問の先生の車で審査会場に行くことになった。会場はT川高校である。校門を出ると峠道を登った。石灰岩を掘り出すために独特の形となった香春岳を遠望し、坂道を下ると田川の街だった。

 香春岳の麓にはセメント工場があり、ベルトコンベアやセメントを作るための巨大な装置が目に付いた。T川高校は国鉄の線路二本にはさまれた場所にあった。一本は駅が学校の近くにあったが、もう一つは乗り換えて駅のあるほうに来なければならなかった。

 審査は初段から三段までで、初段は中学二年から受けることができた。一緒に稽古している中学の者もいた。高齢の人もいて剣道は生涯にわたってやれるんだなと実感した。二段は高校一年からで、こちらも一番年齢の高い人は五十歳くらいである。初段は百五十人、二段は八十人、三段はグッと減って十五人である。高校生で三段を取るにはかなりの実力が必要だし、高校の剣道部にいる者は福岡市で四・五段と一緒に受けることになっていた。

 受付で英樹が与えられたのは「16番」だった。垂れにチョークで番号が書かれた。五人一組となるので相手は「17」と「20」だった。「17」は英樹と同じくらいの背丈で細い体に装着された黒胴は鏡のように周りの風景を映していた。「20」は英樹よりも背は低く、ずんぐりした体型で、梨色の変わった胴を着けていた。

 初段、二・三段とコートが二つ作られ、五人並んだ審査の先生の横にはT川高校の女子部員が会場の係として椅子に腰掛けていた。制服姿の山田も来ていて審査を受ける者に何かアドバイスしていた。話の内容から彼は半年前に二段合格していた。

 

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