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2014年6月19日 (木)

明日君は陽だまりの中で(39)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 英樹は山田の竹刀を上から押さえ込むようにして間を詰めた。「相手の竹刀を殺し、技を殺し、気を殺す」竹刀を封じれば技も封じられるし、相手の戦意も撹乱できる・・・そのように解釈した。気剣体の一致ならば竹刀は剣、体は技に相当した。

 山田が半歩下がったところを面に飛び、鍔競り合いに持ち込んだ。膠着した状態の中で山田は冷静に英樹の動きを目で追っていた。英樹は左足を斜め後ろに移動させ、相手の拳を上から押さえて引き面に色を見せた。山田が押し返そうとしたのを右足で思い切り後方に飛び竹刀の軌道は彼の右わき腹に向かわせた。バンと鋭い音がして、山田から十分に間が開いたところで英樹は中段にしっかりと構えた。

「胴あり」「二本目」

 山田が小手・面を仕掛けて来たのを英樹は体で捌いた。それは夏の終わりに永井がやっていたのと同じだった。これが出来ると相手より気持ちが上になったような感じである。英樹からも小手・面を返した。また鍔競り合いの状態になったが、今度は相手のほうが間を切った。

 英樹は一足一刀の間合いで相手の竹刀を左下から右上に払い上げてみた。山田が面攻撃に出てきた。英樹の体は右斜め前に出て、相手の右胴を捉えた竹刀が正面の金色の校章もなで斬りにして前方に突き抜けた。審判の旗が一斉に挙がった。

「今度は倍にして返したね」

 終わってから藤崎が英樹に声をかけた。チームは負けたが、個人としては一年前の雪辱を果たすことができた。

 

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