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2014年6月 7日 (土)

明日君は陽だまりの中で(3)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 授業が終わってクラブ活動の時間となるのは午後四時半から六時までである。剣道部は毎日体育館の半分を使い、中高合同で稽古ということになっていた。中学は一年が経験者二人という状態で、二年が八人、高校は三年生四人、二年生五人、一年は英樹の他に経験者三人という状態である。N中からの者はいなかった。

 体育館の残りを使うのはバスケット部である。グランドでは軟式野球とサッカー、そしてテニス部がコート二面を使った。中高ともに女子がいないという状態で、更衣室はなく、廊下で制服に着替えてから防具倉庫に行って剣道着に着替え、垂れと胴を着けて整列した。師範は市内の七段の永井という先生で、その先生の長男が三年生だった。

 英樹たちは稽古するのが久しぶりということで中学生のほうに入れられた。切り返し、正面打ち、小手・面、小手・面・引き胴・小手・面、面に対する技、小手に対する技とやると、試合稽古である。英樹の最初の相手は中二のキャプテンにあたる者で赤みがかった胴を着けていた。背丈はほぼ同じで面金の中の瞳はひときわ鋭く光っていた。

「やー」「やー」と掛け声を張り上げながら左右に揺さぶってきたが、英樹は全く動じなかった。中三の夏までは毎日、中体連の試合が終わっても週一回の武道の授業で竹刀は触っていた。素振りも毎日していたし、相手の出鼻をうかがいながら「さあ来い」という気持ちで構えた。相手がバッと面に飛んだ瞬間、英樹は剣先でCの字を描くようにして右前方に踏み出した。赤みがかった胴が小気味よい音を立てた。

 そのあとは小手に対して小手・面を返した。面で勝負してみたら最初のお返しにと胴を抜かれた。バコッという音が右わき腹で響いた。こいつはK高に行った岡部と五分五分かなと英樹は思った。次に竹刀を合わせたのは授業用の安い防具に白紐だった。体型は小太りしていて中学から始めたという感じである。

 最初の面攻撃に対しては鎬で受け止めて胴に返した。次の面は受け止めたまま隙を作った。相手は英樹の右わき腹に一撃を入れて間を空けた。面体当たり引き胴ができたら、次は小手・胴や面と見せて胴、そして相手が面を打つのを胴に抜くというようにステップを上げていくようにしていた。

 同学年の者と竹刀を合わせると英樹は掛け声を大きくした。相手が小手を狙ったのを面に返し、面に来るのを抜き胴に仕留めた。「お主、相当な使い手だな」と相手の目が語っていた。英樹が取られたのは小手だった。

 終礼のあとは再び制服に着替えて寮に戻った。風呂で汗を洗い流し、食堂ではトンカツに御飯を味噌汁や卵と混ぜて三杯食べた。そのあとは寮の部屋で数学・英語・国語の自習である。

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