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2014年6月20日 (金)

明日君は陽だまりの中で(45)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 福原が進み出た。試合中盤で英樹が彼に浴びせた「かついで胴」を試みたが、弱点となる小手を打たれ、そのまま一本負けだった。次鋒は引き胴を浴びせたが有効にならず、追い込み面を食らった。藤崎は開始直後に面に来た相手の胴を抜いたが、そのあとに小手を二本奪われて逆転負けした。杉田も小手から胴に変化する技を出したが、振り向いたところで面を浴びて英樹が負ければ五人抜きという絶対絶命の状況になった。

 相手も少し疲れが出始めているのか動きが鈍りかけていた。英樹は鍔競り合いから引き胴を放ち、有効にならないと見るや出てくる相手の小手を打った。審判が一斉に旗を上げた。「二本目」の号令と同時に相手が面に飛び出したのを英樹は胴に抜いた。味方の拍手が耳に飛び込んだ。二人目には「かついで胴」を仕掛けた。相手が引き込まれるように面に来たのをそのまま腹を真っ二つにする気持ちで切った。この一本で中堅まで引き出した。

 一度「かつぎ」を見せてしまったので、英樹は作戦を変えた。上から竹刀を押し込む形で相手の手元を浮かせるのだが、それで逆胴を打っても決まらなかった。最後は突きから面と見せて胴に変化したらバチッと甲高い音がしてこれで三人抜き返した。

 相手の副将は上段だった。英樹は片手小手を警戒しながら相手のがら空きになった胴に切り込む隙を狙った。鍔競り合いの状態で引き胴を放ったら一本になった。しかし、終了間際に片手小手を浴びて終了した。

 翌朝、玉竜を主催する新聞社に「意地で五人抜きを阻止した一撃」というタイトルで英樹が先鋒の胴を抜いている写真が掲載された。ゼッケンは校名は入っていないが「斎藤」の文字が見え、竹刀が相手の右胴を斜めに捉えて剣先の部分が相手の右胴の端からはみ出ているという構図である。コピーされた記事が英樹に渡された。英樹は不意に股間のムズムズ感に襲われ、「個室」に駆け込んだ。

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