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2014年6月18日 (水)

明日君は陽だまりの中で(33)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 優位に立ったせいか、岡部は落ち着いた試合運びになった。松井先輩のほうが完全に術中にはめられているなと英樹は思った。松井が反時計回りに岡部をかく乱して攻撃に出ようとしているのは危ないと感じた。

 岡部の背中がN高校側に向いたところで松井が面に出た。岡部は見透かしたように胴を抜いた。岡部の竹刀が右脇腹を捉え、N高校の校章を斜めに切るのがはっきり見えた。三本の旗が一斉に上がった。

「あらぁ、傷がついちゃったなぁ」

 礼をして観覧席に戻り、胴を外すと英樹は状態を確かめた。右の部分は鏡のようにきれいな中に白く曇った二センチくらいの筋が斜めに出来ていた。

「こちらは左側にあります」

 福原がそう言って胴を示した。長さ一センチくらいの白い筋が斜めに入っていた。引き胴を浴びた先輩にもあったし、松井の着けていたものは校章にかかっていた。

「岡部先輩に初打ちされたんじゃ仕方ないですね」と福原が言うと「みんなやられたなぁ。これが天命なのかも」と松井が応じた。

 マイクロバスを止めたところまで移動して八木山バイパス経由で学校に戻った。到着したのは午後三時過ぎである。午前中の夏講習は終わってグランドをサッカー部と軟式野球部が半々に使っていた。体育館では中学の剣道部が稽古を終わったところだった。

「残念、五人抜きされました」

 顧問の先生が中学の顧問に言った。秋に向けて頑張りましょうとなり、それから英樹が新チームのキャプテンとなることが正式に発表された。

 

 

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