下り坂(159)
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稽古を終えたのは午後九時である。水分は補給したが、それだけでは足りずにロビーの自動販売機の飲み物に手を出した。増税で130円になったものもあれば120円のままのものもあり、哲也は据え置きになっているものを選んだ。
「岡部さんは盆は九州ですか」
六段の先生が尋ねてきた。この人は公務員を定年退職していた。
「帰るのは七月の祭りのときにします」
「七月って山笠ですか」
「時期は近いですが、祇園太鼓です」
今回も利用するのはS航空である。S航空は社長がA空輸出身に交代して北九州とプサンを結ぶ路線は撤退した。広報部長の名前に見覚えがある気がしたと思ったら、K高の三期上の人だった。
「七段を岩手で受けるか福岡で受けるか考えて福岡にしてみたんですが、いい宿ってありますか」
「交通の便ならば博多駅の周辺です」
「市民体育館というのは空港から近いの」
「地下鉄だと中州川端というところで乗り換えですね。千代県庁口というところで降りると近いです」
還暦を過ぎて遠方で審査を受けるというのは大変だなと思った。五段までは都道府県単位なのが六段からは全国である。
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