何となく 何とでも〔17〕
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
研究室に行ってパソコンを立ち上げてメールをチェックした。学内の連絡事項はほぼメール化され、学生委員会は火曜日の午後二時、広報委員会は木曜日の午前十時からである。私の授業は一・二年のゼミが水曜午前、専門は木曜日の午後、イギリス経済論が火曜日の一時間目、金融論は金曜日の二時間目となっていた。
授業の準備に加えて、秋に向けて「九州の地域金融機関のアライアンス」という研究発表をやろうと思っていた。学内の論集のほうはイギリスに関するもので、国鉄民営化をやることにした。金融と交通はサービス業ということでウィングを広げればよいかということになった。
五時間目が終わる頃に研究室を出て体育館に足を運んだ。月・木の午後五時から七時までと土曜の午後一時から三時まで、剣道部が練習をしていた。差し入れということで二十個入りの「人形焼」二箱を持っていった。
体育館では二人一組で互いに技の稽古をしているところである。男女の別なく、十二組で、一人余っていた。ときどき稽古に顔を出す事務職員はいなかった。片方が面を打ち、それに対して胴を打つという技で、体育館には小気味よい音が次々に響き渡った。
休憩になって全員が面をはずしたところで「差し入れ」と主務の者に手渡した。
「先生、五月二十七日はこちらにおられますか」
「次に東京に戻るのは六月だよ」
「市民体育館で西日本学生大会があります」
「市民体育館って何処」
「地下鉄の千代県庁口のそばです」
試合の申請に判子を押したはずだが、西日本学生大会のことは頭から離れてしまっていた。六月にはQ大学と交流試合、そして七月に入ると日本武道館で行われる学生選手権の九州地区予選という具合に予定が入っているそうである。学生たちが稽古再開のために面をかぶり始めると私は体育館を出た。
| 固定リンク
コメント