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2014年1月21日 (火)

Our generation〔9〕

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 キャンパスに着いたのは授業が始まる三十分前である。教室に行く前にヒロはトイレの「個室」に入った。三回に分けて押し出すと無性に発散したくなるものもあって汗だくになりながら搾り出した。呼吸を整えていると誰かが入ってきた。

「ボランティアは結構疲れたよ」

 声の主は同じゼミのY口から来ている者である。彼は隣の個室に入り、もう一人もその奥に入った。彼の故郷では豪雨災害があり、津和野に向かうSL観光列車は鉄橋が流されて走れなくなった。観光りんご園も川に近いところは木が流されたりした。

「ふうん。泥を出したりとか」

「床の下にものすごくたまってた。匂いもかなりひどくて」

 ヒロはベルトを締めながら壁越しに聞こえる会話に耳を立てた。便器には三つの塊が横たわり、流れるかどうか心配だった。豪雨災害の話は知っていたが、昇段審査に精一杯で行くことは思いもよらなかったのに気が引けた。

「被災地はトイレが問題だよな」

「お年寄りにはこういうしゃがむ姿勢はきついみたい」

 ヒロは水を流した。何とか流れて行ったので、ドアを開けると空くのを待っている者がいた。

 現代日本政治論は三百人入れる大教室だった。受講者もほぼ全員というところである。M新聞社のN山記者が外務省の女性職員と倫理的に許されない関係を持って機密情報をスクープしたという話や中曽根内閣のあたりは知らない時代である。自民党が昭和六十一年の衆参同日選挙で大勝したのが、後々の凋落のはじまりだったというのは皮肉なものと先生は言った。

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