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2014年1月 7日 (火)

Our generation〔3〕

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 行政法の先生は30代の准教授である。時間通りに教室に来て時には休み時間のベルが鳴っても終わらないことがあった。板書は大きいし声も通っているのは救いである。それでもランチのあとの時間は睡魔との闘いだった。

「今日は行政訴訟における原告適格について判例を元に話を進めます」

 原子力発電所の問題で半径三十キロ圏外の住民は当事者たりえないというのが判例だったが、それは福島の事故で無理があるのではないかという議論だった。今後同じような訴訟で三十キロ圏内に限定する裁判官は「良心に従っているのか」という批判を受けるかもしれないという見方が学会では広がりつつあるという話だった。

 珍しく先生は授業を10分早く切り上げた。ぼんやりできる時間ができたなと思う間もなく、ヒロは大便に行きたくなった。伊都キャンパスのトイレは新しいが、箱崎は古くてスクワット便器が並んでいた。ゼミの行われる小教室に近いところに駆け込んで入り口に近い「個室」にしゃがんだ。

「なぁ、俺、JRと船会社に内定もらったけど、どっちにしたらコウカイしないだろ」

 入ってきた二人組みの声がした。「JRに決まっているだろ」ともう一人が応じた。

「公務員試験の調子はどう」

「国家は駄目だった。県庁と福岡市の職員をがんばる」

「変換ミスして不幸か死の職員にならないようにね」

 ヒロは肛門が裂けるのではないかというような太い便を押し出すのに必死だった。水溜りの後ろから前までの長さになるのは普通だが、いつもに比べてどうして直径が大きくなったのかは前日にウドンを少し多く食べたからかもしれないと思った。

 二人組みが出て行ってからズボンをあげてレバーを押した。水の流れが悪くて便はオイルタンカーのように水をかきわけるだけだった。仕方なくヒロは誰もいないのを見計らって便の上に紙をのせてからドアを開け、何食わぬ顔をして洗面台で手を洗った。

 また上空を飛行機が通り過ぎた。音の大きさから777だろうと思った。プロペラ機の音はかなり高い波長だが、ジェットに比べると柔らかい感じである。

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