その先へ飛ぶこと〔59〕
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アメリカの話にはどうしても時間がかかった。ここは出題する予定になっていたからである。次のヨーロッパはEUが1997年に加盟国のエアラインが他の加盟国の国内営業に乗り込むことを完全に認めたということ。カナダとニュージーランドは省略して旧ソ連と中国が国営航空を分割、さらに新規参入を認めたということに触れて早めの昼食にした。
地下一階の食堂でカフェテリア式のメニューを食べていると学生から質問というか最終試験の探りを受けた。トモヒロは「板書をきちんと写していたら大丈夫」と応じた。プリントも配って大事なところは必ず入れていた。
日本の航空の話は戦前の満州まで路線を広げていたところから戦後の再開で日本航空がまず国内の主要路線そしてアメリカという具合に復活したこと、極東航空と日本ヘリコプターが合併して全日空になったこと。昭和四十五年と四十七年に日本航空は国際線と国内の幹線、全日空と東亜国内航空は国内線のみという棲み分けができたこと。昭和六十一年にはそれが撤廃され、全日空がグアムを皮切りにアメリカやヨーロッパに展開し、日本航空も鹿児島など地方路線に乗り入れるようになったことに触れた。
「そして日本もアメリカと同じようにさらに航空の自由化をせよという流れになりました。運賃設定の自由化として1996年からは割引率が50%にもなる早割が登場してその二年後には羽田と福岡・札幌に新しいエアラインが登場しました」
「2002年には日本航空と日本エアシステムが合併してますが、これがアメリカでのパンアメリカンの失敗とそれほど変わらない状態で、経営破たんと再建となったのは最近のニュースで大きく取り上げられたとおりです」
「ここ北九州を拠点とする新しい航空会社ができましたが、営業的には全日空との提携のような状態となっています」
最後のテストは教務の職員が一人、問題用紙のコピーと解答用紙を持ってきた。問題は「高速道路の整備とその影響」「日本の私鉄の経営多角化」「日本・イギリス・アメリカの鉄道経営の比較」「アメリカの航空自由化の展開」「日本の航空自由化の展開」から二つ選んで記すということにしていた。三十分過ぎたら提出して教室を出てもよいのはどこの大学も同じである。
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