その先へ飛ぶこと〔72〕
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K予備校での話が終わったのは午後四時過ぎである。早く戻るなら新幹線だが、この出張は経費を少しでも抑えるために高速バスにしていた。小倉駅の自由通路は昔からあった線路の下を通った。そこからエスカレーターでペデストリアンデッキに上がり、トモヒロが東京に住んでいた頃はS百貨店だったデパートのところにある停留所に向かった。
小倉駅前のピンク色の建物は二十一世紀に入る直前にS百貨店が撤退し、その後東京のI百貨店が入っていた。バレンタインの頃には「世界のチョコレート展」で客寄せを図ったこともあったが、五年くらいでやはり撤退してまた別の流通業者が入った。14階には回転レストランがあり、11階から13階にかけて吹き抜けとカーブしたエスカレータがあったりしたが、すっかり寂れた感じである。
トモヒロは地下の食品売り場に下りて家への土産に菓子を購入した。それから「なかたに」号に乗り込んだ。乗客はトモヒロの他に二人、平和通で五人乗り込み、三萩野というところで七人乗ってきた。バスはモノレールの下を郊外に向かい、市立大学のあるところで14人、次の守恒で三人乗って採算ラインかなとなった。
天神では郵便局のあるところで大半が降りた。トモヒロのほかは三人である。郵便局は天神地下街の北端でバスセンターは南端だった。バスセンターまでが渋滞で長くかかるため、降りる人が多かった。トモヒロがバスを降りないのは自宅近くを通る地下鉄七隈線の始発駅が南端のほうにあるからである。
バスセンターから七隈線の駅に着いたのが午後六時半だった。四両編成の電車は座席が埋まってしまっていた。F大学のあたりまではこんな状態である。トモヒロは運転台の後ろに立った。ホームと車両のドアが閉じると電車はトンネルの中に進んだ。
これで終了にします 次の作品は・・・
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