その先へ飛ぶこと〔57〕
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午前七時、小倉駅のステーションホテルに泊まっていたトモヒロは食堂に行くために部屋を出た。日曜日の夜からここに投宿して三泊目が過ぎた。集中講義は一日五コマでさすがにたち続けるのは出来ず、椅子に腰掛けたり板書をしたりの繰り返しだった。節電のため、エアコンの設定は28℃、座っている学生にとっても苦行である。
市立大学の経済学部は一学年250人で、受講届けを出しているのが260人だった。300人入れる大教室で、受けているのは200人くらいである。二日目の最後の時間に出席確認を兼ねたアンケートをやり、その枚数を数えたら241あった。最後の時間に行う試験の問題は原紙を教務に預けてコピーしてもらう手はずだった。
バイキングの朝食を済ませて部屋に戻ったトモヒロは忘れ物がないように確かめてチェックアウトした。市立大学は小倉駅からモノレールで約10分である。ホテルの真下にモノレールの駅がJRと直角に交差するように作られていた。ホテルのロビーは一階で、モノレールとJRの改札は三階だった。
モノレールは四両編成で、赤と白、黄色と白、紫と白、緑と白、新幹線の車体広告のもの、フェリーの車体広告、地元出身の漫画家の作品である銀河鉄道といった具合になっていてオリジナルの青と白は少数派である。トモヒロが乗り込んだのは赤と白の車体のものだった。発車ベルが鳴ると電車はビルにはさまれた通りの上を進んだ。
車内にはトモヒロの授業を受けている者も見受けられた。車や免許の有無をアンケートに入れたが、キャンパスは狭いため、免許は持っていても車通学は難しかった。大学周辺以外の者はバスまたはモノレールを利用していた。JR日豊線をまたぎ、頭上に都市高速の高架が来てそれと別れると大学前である。
ここの駅は正式には「競馬場前」だった。改札を出て左に行くと競馬場、右がキャンパスである。階段を下りるとキャンパスの南西端になり、二階建ての武道館から朝練習をしているのか竹刀のはじける音が聞こえてきた。その北には弓道場があり、さらに北が西門である。モノレールの場合はここから出入りしていた。
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