« 田中共子編「よくわかる学びの技法」ミネルヴァ書房 | トップページ | 原北稽古〔207〕 »

2013年11月28日 (木)

その先へ飛ぶこと〔51〕

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 四年生で大学院進学する希望の者にトモヒロは研究室に来るように言っていた。月曜から金曜まで授業と校務の委員会以外は出来るだけ研究室にいることが教員の責務になっていた。ゼミ生の携帯電話番号は教務からリストとして渡され、授業に出席していないというようなときには連絡を取るようにと言われていた。

 午後三時にその学生は現れた。最初にもらっていた研究計画では「第三セクター鉄道の現状と将来」というタイトルで、国鉄の分割民営化時点であちこちで作られた第三セクター鉄道の類型を調べるというものだった。トモヒロはもう少し絞る、特に九州に力点を置いたほうがよいとアドバイスした。

 二回目には平成筑豊、甘木、松浦、高千穂、南阿蘇に加えて肥薩おれんじ鉄道を調べるというレポートを持ってきた。そして甘木、平成筑豊、松浦を都市近郊型、高千穂と南阿蘇を観光路線、肥薩オレンジを新幹線建設に伴う経営分離と区分した。甘木はともかく平成筑豊と松浦が都市近郊なのは違和感があったが、どちらも石炭輸送から通勤通学に切り替えたという点では同じとK学園の先生は考えていたので、それでもいいかと思った。

「先生、高千穂鉄道は台風の被害で敗戦になりましたが、三陸の津波で被災したところはどうなるんでしょう」

「JRはバスにしたいのが本音じゃないかな。バス専用の道にしてバスを走らせるほうがメンテナンスコストもオペレーションコストも減らせる」

「どうしてバスじゃ駄目なんでしょう」

「うぅん、たぶん鉄道がある地域という名目にこだわっているのかもしれないねぇ。ある先生が国鉄ローカル線廃止に関して、経済的合理性よりも文化的存在になっていると言われてたよ」

「JR山田線は三陸鉄道の北と南をつなぐような位置ですが、今残っている盛岡と宮古も並行するバスに押されているそうですね」

「東北新幹線や東北本線はすぐに復旧させたけど、被災したエリアの利用はもともと少なかったしさてどうなるかが」

|

« 田中共子編「よくわかる学びの技法」ミネルヴァ書房 | トップページ | 原北稽古〔207〕 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: その先へ飛ぶこと〔51〕:

« 田中共子編「よくわかる学びの技法」ミネルヴァ書房 | トップページ | 原北稽古〔207〕 »