その先へ飛ぶこと〔36〕
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午後五時から懇親会が学生食堂で行われた。まずR大の学長挨拶だが、学長は研究所の大先輩で物流に関する法律が専門だった。アメリカの事情にも詳しく、大学に移ってからは野球部の部長も務めた。
「北九州にできる新しい空港を拠点にした貨物エアラインができるみたいですね」
乾杯のあとトモヒロが学長に近づくと早速声をかけてもらった。旅客についてはS航空が設立されて開港と同時に羽田との便を運航することがローカルニュースでも出ていたが、貨物のほうは初耳だった。
「旅客のほうは準備が進んでいますが、貨物については詳しくは知りません」
「S急便が検討しているとカーゴニュースに出ていたよ」
十五年ほど前にY運輸が貨物専用エアラインを計画したことがあった。747の貨物専用機で羽田と札幌を結ぶ計画だったが、運輸省の強い指導でJ航空やN通運と共同でとなった。結果的には747の搭載能力の半分程度の貨物しか集まらず、一年あまりで頓挫した。
「中型の貨物専用機でないと採算は難しいと思います。福岡・佐賀・大分に山口の貨物をどれだけ集められるかが」
「海の中に作るとなると二十四時間使えるのが強みじゃないですか」
学長は他の人にそそのかされて別の場所に移動した。トモヒロは神奈川の大学に行った先輩のほうに歩み寄った。
「北九州空港のことは福岡のほうでもいろいろと計画しているのでそのときはよろしく頼みますよ。福岡空港は深夜使えないのが大変だよね」
「こちらを八時に出るのが最終になりますが、北九州から福岡に移動となると結構大変です。夜十時にこっちを出たとして博多まで移動するのはバスか乗り合いタクシーでも設定しないと」
二時間でお開きになると新松戸からJRに乗った。秋葉原なら北千住で降りて東京メトロ日比谷線に乗るのがいいと懇親会の席上で言われてそのようにした。二日目はつくばエクスプレスで北千住乗換えにするつもりである。
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