その先へ飛ぶこと〔28〕
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広報委員会の会議は本部のある建物で行われた。流通科学部からはどの委員会も本部まで移動しなければならなかった。委員長は栄養学部、副委員長が幼児教育学部で、トモヒロは三人目の教員、あとは事務局から五人入っていた。
「今年もオープンキャンパスを三回行います。詳細はホームページとなりますが、日時の案内は新聞、交通広告ということで紙の情報でも提供いたします。それで、交通広告については高校生の目につきやすいようにするということで、どこに出すかを検討したいと思います」
委員長の発言に続いて事務から説明が始まった。福岡市営地下鉄、JRの筑肥線、鹿児島本線、福北ゆたか線、久大線、西鉄大牟田線と甘木線という具合に鉄道は広告を出していた。地下鉄七隈線が新設された一方で、広告効果が小さいJR久大線、西鉄甘木線は削るという案である。
「西鉄大牟田線は急行用の車両が各駅停車にも使われてますし、鹿児島本線は門司港から大牟田まで快速・普通用は走りますからドアの横に貼るだけのもので、高校生はドアの周辺に集まるという傾向がありますし」
「Ч学園が西鉄の特急車両にラッピング広告出しましたね。うちでもやってみてはどうですか」
委員長がそういうと「では稟議に入れておきましょう」と事務の課長が応じた。
「バスのラッピングはどうでしょうか。博多駅から早良区にかけての特別快速バスは」
トモヒロは提案してみた。この路線は沿線に高校がいくつかあった。そしてバスに乗るよりも自転車で通学しているようなので、車内よりも車体のほうが効果あるのではと思った。
一時間ほど議論をして解散した。副委員長は次に授業が控えていて急いで出て行った。トモヒロは委員長に呼び止められて、「先生は交通は専門なのでしょう」と言われた。トモヒロのゼミは就職で航空や鉄道を希望するものが多かったが、これらの会社のハードルは高かった。最初のゼミ生は一人タクシー会社に決まり、二年目はY運輸と観光バス会社、三年目に福岡空港の地上スタッフに決まった者が出た。
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